2010/1/25

競争法

米アジレントのバリアン買収、条件付きで承認

この記事の要約

欧州委員会は21日、計測器・科学機器大手の米アジレント・テクノロジーによる米同業バリアンの買収を承認した。両社の統合に伴う競争上の問題が浮上した科学分析機器事業の一部を手放すことが条件となる。\ アジレントは昨年7月にバ […]

欧州委員会は21日、計測器・科学機器大手の米アジレント・テクノロジーによる米同業バリアンの買収を承認した。両社の統合に伴う競争上の問題が浮上した科学分析機器事業の一部を手放すことが条件となる。

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アジレントは昨年7月にバリアンを15億ドルで買収することで合意した。アジレントはバイオ向けに分析計測製品の設計・開発・製造・販売のほか関連サービスや消耗品、ソフトウエアも提供している。バリアントはライフサイエンスや環境、エネルギーなどの分野で科学機器と真空技術を手掛ける。

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欧州委の調査では、両社の事業は欧州市場においてラボ用ガスクロマトグラフィ(GC)、マイクロおよびポータプル・ガスクロマトグラフィ、トリプル四重極ガスクロマトグラフィ質量分析(トリプル四重極GC-MS)装置、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)装置で重複していることがわかった。これらの機器はサンプルから分子・原子成分を検出・定量化するのに利用される。

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ラボ用GCとマイクロおよびポータブルGC、ICP-MS装置では両社は互いに競合しており、統合すればかなりのシェアを握ることになる。またトリプル四重極GC-MS装置ではバリアンが欧州で大きなシェアを持ち、アジレントが最近になって参入して競争を繰り広げていた。このため両社の統合により、これらの機器で寡占化が進む懸念が浮上した。

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これに対してアジレントは世界中のマイクロおよびポータブルGS機器事業を手放すほか、バリアンの世界中のラボ用GCやトリプル四重極GC-MS装置、ICP-MS装置の各事業を売却することを提案。欧州委はこれにより競争上の障害は取り除かれるとして、その実行を条件に買収を認めた。

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