2010/2/8

総合 –EUウオッチャー

スイス銀から流出の口座情報、独政府が買い取りか

この記事の要約

独政府は1日、スイスの銀行から盗み出されたとみられる約1,500人分のドイツ人所有の口座関連情報を、元銀行従業員とみられる提供者から250万ユーロで購入する可能性を示唆した。情報を精査すれば、脱税で失われた税収1~2億ユ […]

独政府は1日、スイスの銀行から盗み出されたとみられる約1,500人分のドイツ人所有の口座関連情報を、元銀行従業員とみられる提供者から250万ユーロで購入する可能性を示唆した。情報を精査すれば、脱税で失われた税収1~2億ユーロを回収できる可能性があるため。メルケル首相は脱税に対する取締まりの重要性を強調し、「関連がある情報ならば入手すべき」と理解を求めている。

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独当局は2年前にも、リヒテンシュタインのLGT銀行から流出した口座データの入手を通じて脱税を摘発しており、今回も同様の形で取締まりを実施したい考えとみられる。LGTの一件では、郵便物流大手ドイツポストの最高経営責任者だったクラウス・ツムヴィンケル氏(執行猶予付き有罪が確定)をはじめ160人以上が脱税で摘発され、総額約3千万ユーロが追徴課税された。この時、独当局は口座所有者の情報が記載されたCD-ROMの提供者に約500万ユーロを支払ったとされている。

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盗まれた情報を購入することはデータ盗難を助長することになりかねないとして、独国内の政治家らの間には政府の姿勢を問題視する向きもある。また、米独仏など各国から銀行の秘密保持の方針について非難を受けているスイス政府はメルケル首相の見解に対し、「盗難データを購入することで、政府が犯罪行為に報酬を与えるべきではない」と反論。盗難情報が絡む税金の問題についてはいかなる法的支援も行わないと言明している。スイス財務省は1月20日、盗難データが関与する場合に外国税務当局への支援を禁止するための法案を策定すると明らかにした。スイスとの二国間関係は、シュタインブリュック独財務相(当時)が昨年、「スイスはドイツ人に脱税を奨励している」と述べるなどして以来、緊張が続いている。

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