2010/6/14

産業・貿易

EU全域で空売り規制導入を、独仏首脳が欧州委に共同書簡

この記事の要約

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は8日、欧州委員会のバローゾ委員長に連名で書簡を送り、EUレベルで株式や国債の空売り規制を導入するよう求めた。ドイツは国債などの投機的な取引がユーロ圏の信用不安を助長している […]

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は8日、欧州委員会のバローゾ委員長に連名で書簡を送り、EUレベルで株式や国債の空売り規制を導入するよう求めた。ドイツは国債などの投機的な取引がユーロ圏の信用不安を助長しているとして、すでに単独でユーロ圏の国債や株式の空売りを禁止している。フランスは当初、独断で規制に踏み切ったドイツに対して不快感を示していたが、ユーロ圏の信用回復に向けてEU全域での規制強化が必要と判断した。独仏首脳はバローゾ委員長に対し、7月のEU財務相理事会までに規制策の素案をまとめるよう求めている。

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両首脳は共同書簡で「このところの金融市場の動向をみると、厳格な市場規制の導入に向けた作業を加速させる必要がある」と指摘。「株式や債券、とりわけソブリン債の空売りについて透明性の向上が不可欠だ」としたうえで、現物の裏付けのない株式や国債の空売りに加え、国債のリスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の取引も禁止すべきとの考えを示した。

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欧州委は両首脳による提言を歓迎し、国債などの空売り規制について近日中に協議文書を公表したうえで、9月までに規制案を策定する意向を示している。

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ドイツは5月、国内で取引されるユーロ圏16カ国の国債と、国債を対象とするCDS、国内の大手金融10機関の株式の空売りを禁止すると発表した。今月2日には国内の全上場企業の株式に対象を拡大する法案を閣議決定。単一通貨ユーロやユーロ圏の国債関連のデリバティブについても連邦金融監督庁の判断で空売りを禁止できる規定が法案に盛り込まれている。

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