2010/6/14

産業・貿易

パレスチナにEU市場開放、欧州委が検討

この記事の要約

欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は10日、パレスチナ自治区へのEU市場開放を検討していることを明らかにした。パレスチナのヨルダン川西岸地区およびガザ地区で生産された製品をEU市場に無税・無枠で輸出できるようにする。こ […]

欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は10日、パレスチナ自治区へのEU市場開放を検討していることを明らかにした。パレスチナのヨルダン川西岸地区およびガザ地区で生産された製品をEU市場に無税・無枠で輸出できるようにする。これにより両地域間の貿易を拡大し、パレスチナの輸出市場構築を支援したい考えだ。EU加盟国から反対意見は出ておらず、各国ならびに欧州議会の承認を得て、数カ月内に実現する見通し。

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同日に行われたパレスチナ自治政府のハサン・アブ・リブデ国民経済庁長官とデフフト委員の会談で、双方はEU各国ならびに地中海沿岸国とパレスチナの二国間、およびパレスチナとEUの地域間の貿易促進に向けた包括的な方針を年末までにまとめることで合意。今後、継続的に協議を行う。EUはすでにパレスチナを含む地中海周辺諸国との間で欧州・地中海連合協定を締結しているが、パレスチナ・EU間の貿易規模は小さく、2008年の輸出入総額は7,100万ユーロにとどまっている。同年のEUの援助プログラムにおいても、対パレスチナは全体の5分の1以下だった。

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一方、パレスチナが世界貿易機構(WTO)のオブザーバーとしての地位の承認を求めていることについてデフフト委員は、EUが今後、その実現に向けても支援を継続すると明言。多角的な貿易体制にパレスチナを取り込むことへの第一歩になると同時に、パレスチナ国家の建設プロセスにおいても主要な役割を果たすと指摘した。リブデ長官は、EUがパレスチナの強固なパートナーであることを明確に示すことは、パレスチナ国家樹立の実現においても、貿易などを通じた民間部門の強化に対する支援においても重要だと強調している。

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なお、EU高官によると、今回の協議は数カ月前から予定されていたものであり、先月31日にイスラエル特殊部隊がガザ地区に向けて支援物資を運んでいた支援船団の一隻を強襲し、国際的に非難を受けている一件とは無関係という。

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