2010/6/21

産業・貿易

欧州議会が食品成分表示ルール可決、「信号方式」の導入見送り

この記事の要約

欧州議会は16日の本会議で、EU域内で販売される食品と飲料にカロリーや主な栄養成分の表示を義務付ける法案を賛成多数で可決した。最大の焦点だった塩分や糖分などの含有率を3段階でカラー表示する「信号方式」に関しては、メーカー […]

欧州議会は16日の本会議で、EU域内で販売される食品と飲料にカロリーや主な栄養成分の表示を義務付ける法案を賛成多数で可決した。最大の焦点だった塩分や糖分などの含有率を3段階でカラー表示する「信号方式」に関しては、メーカーに表示を義務付ける案が否決された。今後、閣僚理事会で法案について審議する。

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食品表示に関する新ルールは、食品や飲料を選ぶ際に目安となる重要な情報を分かりやすい形で提供し、EU市民の健康的な食生活を支援して肥満の蔓延に歯止めをかけるのが狙い。法案によると、メーカーはビール、ワイン、蒸留酒を除くすべての食品と飲料について、100ミリリットルあるいは100グラム当たり、または1個当たりのカロリーと脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖質、塩分の含有量をパッケージの表側に明記することが義務付けられる。たんぱく質、食物繊維、トランス脂肪酸の含有量も表示しなければならないが、パッケージのどこに表示するかはメーカーの裁量に委ねられる。

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すでに英国などで導入されている信号方式のラベル表示に関しては、業界側の強い反発を受けて欧州委員会が提案を見送ったが、欧州議会では欧州緑の党などの議員から、EU共通の基準に沿って塩分、糖分、脂肪分の含有率を3段階でカラー表示することをメーカーに義務付ける案が提出された。しかし、今年3月の欧州議会環境委員会に続き、本会議でも同システムの導入案が否決された。

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一方、食品の原産国表示に関しては、すでに表示が義務化されている牛肉、野菜、くだものなどに加え、新たにすべての食肉(家きん肉を含む)と乳製品に表示ルールが適用される。加工食品の原料として肉や魚が使用されている場合も原産国表示が義務付けられるが、まず欧州委が影響評価を行ったうえで新ルールが導入される。

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一連の食品表示ルールは法案成立から3年後に施行されるが、従業員100人未満または年間売上高500万ユーロ未満の事業者については5年間の移行期間が置かれる。

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