2010/6/21

競争法

ユーロスターの英仏2社による合弁会社化、欧州委が条件付きで認可

この記事の要約

欧州委員会は17日、英国とフランス、ベルギーを結ぶ国際高速鉄道ユーロスターに出資するフランス国鉄(SNCF)と英政府が保有するロンドン・アンド・コンチネンタル・レールウェイズ(LCR)が合弁会社を設立し、「新生ユーロスタ […]

欧州委員会は17日、英国とフランス、ベルギーを結ぶ国際高速鉄道ユーロスターに出資するフランス国鉄(SNCF)と英政府が保有するロンドン・アンド・コンチネンタル・レールウェイズ(LCR)が合弁会社を設立し、「新生ユーロスター」を発足させる計画を条件付きで認可したと発表した。欧州委は両社にベルギーのSNCB を加えた3社が共同で保有する現在の体制から英仏2社による合弁事業に移行した場合、主要路線で新規参入が現在より困難になり、競争が阻害されるおそれがあるとの懸念を示していたが、SNCFとLCRは競争促進に向けた改善策を提示。欧州委はこれを受け、公約を順守することを条件に計画を承認した。

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ユーロスターは英仏海峡トンネル(チャネルトンネル)を通って英・仏・ベルギーを結ぶ唯一の鉄道。現在はSNCF、LCR傘下のEUKL、SNCBの3社がそれぞれ自国内における運行管理や保守・点検などの業務を分担しているが、新体制ではSNCFとLCRによる合弁新会社が全路線のサービスを一括管理する。なお、SNCBは合弁会社の少数株を取得することで合意している。

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欧州委は予備調査を通じ、計画を認めるとロンドン~ブリュッセル、ロンドン~パリを結ぶ路線で新規参入が現在より困難になり、ユーロスターの市場支配力が強まる恐れがあると指摘していた。SNCFとLCRはこれを受け、同業他社にユーロスターのインフラを開放する改善策を提示。具体的には◇新規参入する事業者への線路の開放◇パリ北駅、ロンドンのセントパンクラス駅、ブリュッセル・ミディ駅をはじめとする主要ターミナルの発券カウンターや案内所などの開放◇現在ユーロスターを共同運営する3社が保有する操車場での保守・管理サービスの提供――などが盛り込まれている。

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欧州委は一連の措置により、英仏海峡を横断して英国とフランス、ベルギーを結ぶ路線への新規参入が容易になり、ユーロスターの経営体制が変更することで著しく競争が阻害される可能性は低いと判断した。

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