EU加盟国は7月26日にブリュッセルで開いた外相理事会で、ウラン濃縮活動を続けるイランに対して独自制裁の発動を決めた。これは国連安全保障理事会で6月に採択された4回目の制裁決議への追加措置で、すでに先のEU首脳会議で承認されていた。イランに対する圧力を強めながら、イランを英独仏露中米の6カ国との交渉の場に引き戻すことを狙う。制裁措置は数週間以内に実施される予定だ。
\追加制裁では、イランのエネルギー分野に対する設備・技術・サービスの提供や新規投資を禁じている。イランは世界4位の産油国だが石油精製施設が限られているため、国内の燃料需要の40%を輸入に頼っており、制裁はこの石油精製のほか液化天然ガス技術、油田の開発・生産にも打撃を与える。
\また兵器に転用可能な機器の禁輸、EUで営業するイラン系銀行の活動の監視や支店設立の禁止、イランへの4万ユーロ以上の送金に対する許可制の導入のほか、海運や航空貨物などのサービスにも及んでいる。イランにとってEUは最大の貿易相手のため大きな影響が出るとみられている。
\追加制裁の決定を前にイランのアフマディネジャド大統領は25日、イランは「(制裁が行われれば)速やかに対応し、EUは後悔することになる」と警告していた。またイラン外務省の報道官は、制裁は何の効果もなく状況を複雑にするだけと非難している。
\アシュトンEU外相(外交安全保障上級代表)は核協議の再開を目指し、過去数週間にイランの原子力利用に関する交渉責任者であるサイード・ジャリリ国家安全保障最高会議書記と書簡を交換しており、イラン政府は9月にも再開する可能性を示している。
\