2011/1/3

産業・貿易

赤字炭鉱への補助金支給は2018年まで、欧州委案より4年延長

この記事の要約

EU加盟国は先ごろ開いた産業相理事会で、赤字経営の炭鉱に対する各国の補助金交付を2019年から禁止することを正式決定した。欧州委員会は補助金を2014年で打ち切る予定だったが、国内に多くの炭鉱を抱えるドイツなどの反発を受 […]

EU加盟国は先ごろ開いた産業相理事会で、赤字経営の炭鉱に対する各国の補助金交付を2019年から禁止することを正式決定した。欧州委員会は補助金を2014年で打ち切る予定だったが、国内に多くの炭鉱を抱えるドイツなどの反発を受け、4年延長して2018年末まで認めることになった。

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EU内では10万人程度が炭鉱や関連施設で働いており、自力運営が困難な炭鉱に毎年30億ユーロを超える補助金が投じられている。しかし、競争力を失った炭鉱への多額の補助金は加盟国にとって大きな負担になっているうえ、環境面からも低炭素社会への移行を促すうえで二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電を減らす必要に迫られている。このため欧州委は2010年7月、補助金の現行規則が同年末に失効するのを機に、加盟国に対して炭鉱の運営費用を補てんするための補助金を段階的に廃止し、2014年10月末までに全廃するとともに赤字炭鉱を閉鎖することを提案した。

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これに対して、石炭産業が多くの雇用をもたらしているドイツ、スペインなどは、炭鉱閉鎖の社会的影響が大きく、労働者の再就職などの調整に時間がかかるとして、補助金の4年延長を要求。欧州議会も11月、補助金交付を2018年末まで認めるよう求める決議を採択していた。

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