2011/7/4

総合 –EUウオッチャー

ギリシャへの追加融資正式決定、今後は第2次支援が焦点に

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は2日、財務相の電話による協議で、深刻な財政危機に陥っているギリシャに対して、EUと国際通貨基金(IMF)が120億ユーロの追加融資を実行することを正式決定した。ギリシャ議会が追加融資の条件となっていた中 […]

ユーロ圏17カ国は2日、財務相の電話による協議で、深刻な財政危機に陥っているギリシャに対して、EUと国際通貨基金(IMF)が120億ユーロの追加融資を実行することを正式決定した。ギリシャ議会が追加融資の条件となっていた中期財政再建計画を可決したことを受けたもの。これによってギリシャは当面、デフォルト(債務不履行)の危機を脱することになった。今後はEUとIMFによる第2次金融支援の枠組みをめぐる協議が焦点となる。

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可決した財政再建策は、増税と歳出カットで財政赤字を2015年までに284億ユーロ削減するとともに、国営企業の民営化や国有地の売却で500億ユーロを調達するという内容。議会は6月29日に基本計画を承認、30日に具体策を盛り込んだ関連法案を可決した。

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ギリシャは昨年5月にEUとIMFから総額1,100億ユーロの金融支援を取り付けたが、信用不安が収まらず、国債償還の資金を国債の新規発行で調達できない状況に直面。7月中旬に多額の国債償還を控え、同支援に基づく第5弾の融資120億ユーロの早期実行と、第2次支援の実施を要請している。その条件としてEUとIMFは、今回の財政再建法案の可決を求めていた。

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第1次支援に基づく第5弾融資のうち、EUの負担は87億ユーロ。残りの33億ユーロについては、IMFが8日に実施を決定する見通し。融資は15日までに実行される。

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ユーロ圏は当初、3日に財務相会合を開いてギリシャへの追加融資を承認する予定だったが、電話協議に切り替え、1日前倒しで決定した。

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新たな焦点となる第2次支援は、第1次と同規模になる見込み。これをめぐっては、ギリシャ国債を保有する民間銀行などが、償還期限を迎えた際に自発的にロールオーバー(買い替え)に応じることを条件とする点が決まっており、同方式によって民間にどれだけ負担させるかが協議の最大の懸案となる。

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これについては、ドイツのショイブレ財務相は30日、約20億ユーロ相当のギリシャ国債を持つ国内銀行、保険会社がロールオーバーに同意したと発表。また、フランスの銀行は、保有する国債の70%について30年物国債に買い替え、返済を繰り延べするという案を提示している。

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ユーロ圏は11日に財務相会合を開いて第2次支援の詳細について協議するが、調整は難航するもようで、合意は9月半ばにずれ込むとの見方が広がっている。

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一方、ギリシャはとりあえずデフォルトを回避したものの、今後も巨額の国債償還を控えている。国内では追加緊縮策に反発する市民の暴動が激化しており、EUが第2次支援を決めたとしても融資実行には可決した財政再建策を実施に移す必要があり、引き続き綱渡りの財政運営を迫られる。

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