2011/11/21

総合 –EUウオッチャー

スペインも政権交代、総選挙で野党が地すべり的勝利

この記事の要約

スペインで20日に実施された総選挙で、中道派の野党・国民党が地すべり的勝利でサパテロ首相率いる社会労働党を制し、下院(定数350)の過半数を確保した。これにより7年ぶりの政権交代が実現。国民党のマリアノ・ラホイ党首(56 […]

スペインで20日に実施された総選挙で、中道派の野党・国民党が地すべり的勝利でサパテロ首相率いる社会労働党を制し、下院(定数350)の過半数を確保した。これにより7年ぶりの政権交代が実現。国民党のマリアノ・ラホイ党首(56)が新首相に就任する。スペインもギリシャ、イタリアなどに続き、新体制で経済危機、信用不安打開に挑むことになる。

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開票率99%の時点で、国民党は186議席を確保。現在の154議席から大幅に躍進し、単独で過半数に達した。社会労働党は169議席から110議席に後退し、歴史的大敗を喫した。

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スペインは2008年の不動産バブル崩壊に伴い、景気が急速に悪化。失業率はEU27カ国で最悪の22.6%に達している。さらに、財政赤字が膨らみ、ギリシャ危機が波及。10年物国債の流通市場での利回りは17日、ユーロ導入後で最高の6.7%に達し、危険水域とされる7%に近づいた。選挙結果には、社会労働党政権の危機対応が遅れたとの批判が反映された。

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12月中旬に発足する新政権にとっては、信用不安解消が足元の急務となる。2010年に国内総生産(GDP)比9.3%まで膨らんだ財政赤字を削減し、市場の信頼を取り戻す必要がある。次期首相となるラホイ党首は、勝利確定後に支持者を前に行った演説で、「スペインは過去30年間で最も厳しい状況に置かれている」とした上で、雇用改善、財政赤字削減、景気対策に取り組む意向を表明した。ただ、財政再建に向けた緊縮策を進めながら景気、雇用を回復させるのは至難の業で、難しい舵取りを迫られることになる。

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EUでは信用不安に直面するギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインのすべてで政権が交代する形となった。

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