2011/11/21

総合 –EUウオッチャー

イタリアの新内閣発足、財政再建へ実務家結集

この記事の要約

イタリアで16日、モンティ首相率いる新内閣が発足した。閣僚に与野党の議員が1人も加わらず、各界の専門家を集めた実務派内閣で、“第2のギリシャ”となることを回避するため財政再建を進める。\ ベルルスコーニ前首相の辞任を受け […]

イタリアで16日、モンティ首相率いる新内閣が発足した。閣僚に与野党の議員が1人も加わらず、各界の専門家を集めた実務派内閣で、“第2のギリシャ”となることを回避するため財政再建を進める。

\

ベルルスコーニ前首相の辞任を受けて発足した新内閣は、16日に上院、18日に下院で信任された。

\

モンティ首相は経済・財務相を兼任し、EUに約束した財政再建を主導する。新設ポストの経済発展・インフラ・運輸相には、大手銀行インテサ・サンパオロのパッセラ頭取を起用。右腕となる副首相には、イタリア競争委員会(日本の公正取引委員会に相当)のカトリカラ委員長が就任した。最大の課題となっている財政再建、経済改革を推進するため、実務能力を重視した政治家抜きの手堅い陣容だ。

\

モンティ首相は上院の信任投票に先立って行った演説で、新政権が経済成長も重視しながら財政を立て直していく方針を表明。財政赤字削減に向けた年金制度改革、労働市場を含む構造改革などに取り組むことを言明した。赤字削減では、不動産税の復活、富裕層向けの新税導入や脱税防止強化を打ち出した。

\

ギリシャ危機が飛び火したイタリアでは、国債の利回りが急上昇し、国債発行による資金調達が困難となっている。10年物国債の利回りは、政権交代が決まった直後に、停滞していた財政再建が進むとの期待感から、危険水域とされる7%を割り込んだが、その後に再上昇。7%を行ったり来たりの状況となっており、極めて流動的だ。

\

新政権の財政再建がぶれると一気に超危険水準まで跳ね上がり、来年に4,400億ユーロ相当の国債償還を控える政府は資金繰りに行き詰まり、ギリシャなどに続いてEU、国際通貨基金(IMF)への金融支援要請に追い込まれることになる。しかし、ユーロ圏3位の経済国であるイタリアを支え切るのは困難で、ユーロは大きな危機に見舞われることになる。モンティ首相「ユーロの将来は、イタリアが今後数週間内で何をするかにかかっている」と述べ、市場の信用回復に向け、全力で改革に取り組む姿勢を強調したが、現在は新政権を支持している主要与野党の風向きが変わる可能性もあり、多難な政権運営となりそうだ。

\