2012/3/12

産業・貿易

証券決済機関に共通規制適用へ、欧州委が決済期間短縮など提案

この記事の要約

欧州委員会は7日、より健全な金融システムの構築に向けた取り組みの一環として、証券の決済業務を行う各国の証券保管振替機関(CSD)に適用するEU共通の規制の枠組みをまとめた。証券決済の安全性と効率の向上を目的として、決済期 […]

欧州委員会は7日、より健全な金融システムの構築に向けた取り組みの一環として、証券の決済業務を行う各国の証券保管振替機関(CSD)に適用するEU共通の規制の枠組みをまとめた。証券決済の安全性と効率の向上を目的として、決済期間の短縮や証券の電子化、加盟国の金融当局から認可を受けたCSDがEU全域でサービスを提供できる「パスポート制」の導入などを柱とする内容だ。欧州議会と閣僚理事会で欧州委の提案について検討する。

\

CSDは証券決済システムを運用し、投資家に代わって有価証券を集中的に保管するとともに、参加者間における有価証券の受渡しを帳簿上の記帳の変更(口座振替)によって処理している。さらに、あらゆる種類の有価証券の発行および取引状況を詳細に追跡しており、証券市場で極めて重要な役割を担っている。しかし、CSDに対する規制は国ごとに行われているため、国境を越えた証券取引では国内取引と比べて決済業務にかかるコストが最大4倍に上り、決済不履行の発生率も最大で10%高くなっている。欧州委はEU全体で証券決済の安全性を改善するには共通の規制の枠組みが必要と判断し、意見募集を行うなどして具体策の検討を進めていた。

\

欧州委の提案によると、現在は平均2~3営業日を要している決済期間に上限が設けられ、CSDは有価証券の売買から最大2営業日以内の決済が義務づけられる。また、すべての市場参加者は有価証券の取引を電磁的に記録し、CSDに登録しなければならない。一方、EU内の1カ国で認可を取得したCSDが域内全域でサービスを提供できる制度が導入され、市場参加者は自由にCSDを選ぶことができるようになる。

\

欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は「欧州委として金融市場に対する適正な規制と監督体制の整備をくり返し約束してきた。証券市場において決済業務は極めて重要なプロセスであり、安全で効率的なシステムを確立する必要がある。EU各国のCSDに共通のルールを適用することで単一市場の形成を促すことができる」と説明している。

\