2013/5/27

産業・貿易

EBAが銀行賞与規制の実施ルール発表、年棒50万ユーロ以上が対象に

この記事の要約

EU加盟国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は21日、年間報酬額が50万ユーロを超える銀行員に対し、ボーナス(賞与)の支給額を原則として年間給与と同額までとする規制を適用する方針を発表した。EU加盟国と欧 […]

EU加盟国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は21日、年間報酬額が50万ユーロを超える銀行員に対し、ボーナス(賞与)の支給額を原則として年間給与と同額までとする規制を適用する方針を発表した。EU加盟国と欧州議会は国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」を実施するためのEU法に賞与規制を盛り込むことで合意し、2014年1月の実施を目指している。EBAはこれを受け、賞与規制の適用範囲や条件について検討を進めていた。8月21日まで各方面から意見募集を行い、今秋に最終案をまとめる。

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賞与規制はEU域内に本社や現地法人を置くすべての銀行に適用される。銀行員のボーナスは原則として年間給与と同額が上限となるが、65%を超える株主の承認があれば給与の最大2倍まで支給することが可能。ただし、議決が定足数(株式総数の半数を保有する株主)以下で行われる場合は75%の承認が必要となる。

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EBAの提案によると、賞与規制は年間報酬額が50万ユーロを超えるすべての行員に適用される。さらに報酬額が50万ユーロに満たない場合でも、同一行で報酬が上位0.3%の行員や、賞与の支給額が年間7万5,000ユーロを超える場合は規制の対象となる。ただし、これらの条件に該当するケースでも、当該銀行のリスクテイクに実質的な影響がないと証明できる場合に限り、規制の対象から除外することが認められる。

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EBAによると、域内110行から提出された2011年のデータによると、銀行員の年間報酬額は平均50万8,000ユーロ。一方、23行のデータを用いた試算によると、EBAの提案通り適用基準を50万ユーロとした場合、4,796人が規制の対象となり、現在の約2.5倍の行員に影響が及ぶという。

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世界有数の金融センターを抱える英国は、人材流出の懸念などを理由に最後まで賞与規制に反対していた。大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、EBAの提案が承認された場合、ロンドンの金融街シティでは現在の10倍に上る行員が賞与規制の対象になるとみられている。大手法律事務所アレン・アンド・オブリーのステファン・マーティン弁護士は「高額報酬を受け取っているバンカーの絶対数が少ない域内の他の金融センターに比べ、ロンドンは新たな規制で多大な影響を受けるだろう。優秀な人材を確保して世界の金融センターと競争するうえで大きなハンディキャップを負うことになる」と警告している。

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