2013/5/27

産業・貿易

企業年金に「ソルベンシーII」適用せず、個別の規制で対応=欧州委

この記事の要約

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は23日、保険会社に対する新たな規制の枠組みを定めた指令案「ソルベンシーII」について、企業年金には適用しない方針を打ち出した。企業年金側から自己資本規制が厳しくなること […]

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は23日、保険会社に対する新たな規制の枠組みを定めた指令案「ソルベンシーII」について、企業年金には適用しない方針を打ち出した。企業年金側から自己資本規制が厳しくなることで大きな打撃を受けると反発する動きが強まっていたためで、企業年金をソルベンシーIIから切り離し、個別の規制案を今秋にまとめる。

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ソルベンシーIIは銀行に対する自己資本比率の最低基準を定めた新BIS規制に相当する保険分野の新ルールで、国際的に事業展開する保険会社に対して関係国の監督機関が連携して監視体制を強化し、グループ全体のリスクを正確に把握して金融市場の混乱を防止することを最大の目的としている。

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具体的には保険会社に一定以上のソルベンシーマージン(不測の事態が発生した場合でも契約通りに保険金を支払うための「余裕資金」のことで、広義の自己資本)の保有を義務付けることを柱とする内容で、リスク資産の評価技法やガバナンスに関する共通ルールなども盛り込んでいる。

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欧州委はソルベンシーIIを企業年金にも適用する方針だった。しかし、年金年金側から、資本の大幅な積み増しによって年金を運営する企業の財務が圧迫されて投資の余裕がなくなり、経済にも悪影響を及ぼすという声が噴出。とくに英国では、一部の企業年金が50%もの増資が求められ、閉鎖に追い込まれるとの懸念が出ていた。

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これを受けて欧州委は、企業年金をソルベンシーIIの対象外とし、企業年金の実態に即した新規制をまとめることを決めた。

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