2013/5/27

環境・通信・その他

補充可能な容器入りオリーブ油、欧州委がレストランでの使用禁止を撤回

この記事の要約

欧州委員会は23日、域内のレストランなどに対し、オリーブ油を補充可能な容器に入れて客に提供することを禁止するルールの導入を見送ると発表した。欧州委は当初、新たな規制を通じて衛生面の懸念などを取り除き、消費者保護を図りなが […]

欧州委員会は23日、域内のレストランなどに対し、オリーブ油を補充可能な容器に入れて客に提供することを禁止するルールの導入を見送ると発表した。欧州委は当初、新たな規制を通じて衛生面の懸念などを取り除き、消費者保護を図りながら、オリーブ油のイメージアップにつなげて財務危機で苦境に立つ南欧の生産者を支援することができると説明していた。しかし、加盟国からEUの介入に対して強い反対意見が出たため、1週間前に提示した規制案を取り下げ、各方面と改めて協議することを決めた。

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ヨーロッパのレストランにはオリーブ油が卓上に置かれていることが多い。しかし、詰め替え可能なガラス瓶や陶器に入れて補充しているケースも多く、衛生面や酸化して風味が落ちるといった問題が指摘されていた。このため欧州委は1年以上にわたりオリーブ油の生産者団体などと協議を重ね、2014年1月から産地を明記したラベルが貼られた使い捨て容器以外の使用を禁止するルールを打ち出した。

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しかし、新ルールの下では伝統的な製法を守っている家族経営などの小規模生産者からオリーブ油を購入することが実質的にできなくなるため、レストラン経営者などが規制案に強く反発。消費者団体などからも「消費者の選択肢が狭められる」といった意見が出ていた。さらに、実際にどのような方法で違反行為を取り締まるかなど運用上の問題点も多く、実効性を疑問視する向きもあった。

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こうしたなか、22日のEU首脳会議では、英国やオランダなどが相次いで規制案に反対を表明。キャメロン英首相は「EUが介入すべき問題ではないし、そもそも議論すべきテーマでもない」と述べた。

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欧州委のチオロシュ委員(農業・農村開発担当)は23日の会見で、「消費者が新ルールに反対していることが明らかになったため、規制案を取り下げることにした」と説明。不必要な規制は行わない方針を強調したうえで、生産者、消費者団体、レストラン業界などと改めて協議を行い、各方面に受け入れられる形のルールづくりを目指す考えを示した。

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