2013/6/17

産業・貿易

欧州委、鉄鋼業界支援の行動計画を発表

この記事の要約

欧州委員会は11日、不振にあえぐ鉄鋼業界の活性化に向けた行動計画を発表した。鉄鋼業界は欧州にとって戦略的に重要と位置づけ、雇用削減や工場の海外移転などを防ぐのが狙い。\ 欧州の鉄鋼各社は、景気不振と中国製品の低価格攻勢を […]

欧州委員会は11日、不振にあえぐ鉄鋼業界の活性化に向けた行動計画を発表した。鉄鋼業界は欧州にとって戦略的に重要と位置づけ、雇用削減や工場の海外移転などを防ぐのが狙い。

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欧州の鉄鋼各社は、景気不振と中国製品の低価格攻勢を受け業績が悪化している。2012年12月期に赤字に転落した世界最大手アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)は、フランスやベルギーで工場を一部閉鎖するリストラ策を発表。雇用への影響を懸念した欧州委や関係国政府が計画の見直しを求める事態となった。

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欧州委が今回まとめた行動計画は、◇規制見直しによる競争力強化◇補助金を活用した解雇労働者の再就職支援や技術取得の促進◇鉄鋼業界の主要顧客である自動車部門と建設部門での需要喚起◇鉄鋼製品の市場開放や原材料の自由貿易などを推進し、世界で公平な競争条件を確保する◇エネルギー価格の抑制努力◇気候変動政策で国際競争の観点を考慮◇革新的製品の研究開発の促進――の7項目を内容とする。タヤーニ副委員長(産業・企業担当)は、行動計画について、「鉄鋼部門は欧州にとって戦略的に重要であり、成長の原動力であるという明確なシグナルを送るものだ」と強調。今後は計画の進捗状況を慎重に見守り、1年以内に意図した成果が挙がっているかについて検討する意向を示した。

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EUの鉄鋼産業は36万人を雇用。世界生産量の11%に相当する年間1億7,700万トンを生産し、中国に次いで2位につける。域内の鉄鋼需要は金融危機前と比べ27%落ち込んでおり、雇用は07年から11年の間に1割減少した。

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