2014/1/6

総合 –EUウオッチャー

S&PがEUを格下げ、最上級の1段階下に

この記事の要約

大手格付け会社の米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は12月20日、EUの長期信用格付けを最上級の「AAA」から1段階引き下げ、「AAプラス」にしたと発表した。予算協議の紛糾などで加盟国の結束が弱まってい […]

大手格付け会社の米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は12月20日、EUの長期信用格付けを最上級の「AAA」から1段階引き下げ、「AAプラス」にしたと発表した。予算協議の紛糾などで加盟国の結束が弱まっていることや、多くの国での財政悪化を理由としている。格付け見通しについては「安定的」に設定した。

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S&Pは11月、オランダの長期信用格付けを「AAA」から1段階引き下げたばかり。EUで最上級の格付けを維持しているのはドイツ、フィンランド、ルクセンブルクなど6カ国だけとなった。同月にはフランスの格付けも「AAプラス」から1段階引き下げて「AA」に設定。これによって、EU予算の純拠出国の平均的な格付けが「AAプラス」から「AA」に低下したことが、今回の格下げに反映された。

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さらにS&Pは、EUの中期予算をめぐる協議の紛糾や、英国がEU離脱の動きを見せていることにも言及し、「加盟国間の結束力が弱まっている」と指摘。「総合的にEUの信用力が低下している」と懸念を示した。

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EUが独自に発行する債券は極めて小規模で、予算も債券ではなく加盟国による拠出で運営されていることから、格下げによる影響はほとんどないが、欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)は「すべての加盟国が金融危機の時でさえ、予定額をきちんと拠出した」と述べ、S&Pの決定に不満を表明した。

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