2014/1/6

産業・貿易

EU当局が銀行LCR規制の指針発表、カバードボンドは下位分類に

この記事の要約

EUの欧州銀行監督機構(EBA)は12月19日、銀行に流動性の高い資産の保有を義務づける規制の重要項目となる「流動性カバレッジ比率(LCR)」について、LCR基準を満たすために算入できる資産を流動性が極めて高い第1分類と […]

EUの欧州銀行監督機構(EBA)は12月19日、銀行に流動性の高い資産の保有を義務づける規制の重要項目となる「流動性カバレッジ比率(LCR)」について、LCR基準を満たすために算入できる資産を流動性が極めて高い第1分類と、それに比べて劣る第2分類に区分し、銀行にLCRの60%以上を第1分類で占めるよう義務付ける方針を打ち出した。担保付き債券(カバードボンド)などは第2分類に区分けされており、カバードボンド市場が大きな比率を占めるデンマークの銀行にとって大いに不利となる。

LCR規制は、バーゼル銀行監督委員会が金融危機の再発防止のため導入する国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」の柱のひとつ。銀行に対して、信用収縮が起きた場合でも30日間は資金繰りに行き詰まらないようにするため、換金性の高い資産を十分に保有することを義務づけるというものだ。同委員会は2013年1月、15年から同規制を導入することで合意。これに基づき銀行は15年1月からLCRを60%以上とし、その後に毎年10%ずつ引き上げ、19年から100%以上とすることが求められる。

EBAがEU域内の銀行を対象に示した指針で第1分類に認定されたのは、EU加盟国の国債や、中央銀行、欧州投資銀行(EIB)など政策機関による保証がついた債権。社債、株式、カバーボンド、住宅ローン担保証券(RMBS)、地方政府債など他の金融資産は第2分類に区分された。

EBAは10月、カバーボンドは株式などと比べて流動性が高いとして、上位に区分する姿勢を示していただけに、今回の決定は予想外。カバーボンド市場が国債市場の3倍の規模となっているデンマークの銀行にとって、大きな痛手となる。

一方、国債については、債務危機に直面するギリシャなどと、最高格付けを与えられているドイツなどで信用力に大きな格差があり、一律に扱うことを疑問視する声があったが、EBAは区別せず、すべて同等で扱うことに決めた。

欧州委員会はEBAが打ち出した同指針に基づいて、2014年中に法制化を進める。最終的には加盟国、欧州議会の承認が必要で、一部が見直される可能性がある。