ウクライナ国営ガス2社、伊スナムらと輸送網事業で提携

天然ガスパイプライン運営事業者の伊スナムとスロバキア・ユーストリームは先ごろ、ウクライナ国営のガス輸送会社、ウクルトランスガスおよびガス会社ナフトガスと、同国ガス輸送網の運営・拡大で提携する可能性を探ることで一致し、基本合意書に調印した。

欧州基準に適合する形でウクライナ天然ガス輸送網の質を高め、輸送の安定・効率化で競争力を強化する狙い。また、生産・輸送・販売事業の分離に向けて、他企業がパイプラインへアクセスできる技術的前提を整える。

ウクライナは以前から、ロシア産天然ガスを欧州に供給する重要な中継地だった。ただ、2000年代にガス料金の支払いをめぐるロシアとの対立で欧州への供給が不足する事態が発生したことから、同国を迂回する輸送路の整備が進んでいる。東部での内戦もこの傾向を後押ししている。

ウクライナ政府はこのような状況を踏まえ、国内輸送網の近代化を決定。その提携先として、スナムとユーストリームを選んだ形だ。

ユーストリームはウクライナ国境からオーストリア、ハンガリー、チェコに天然ガスを輸送してきた実績がある。スナムは約4万キロメートルの国際ガスパイプラインを運営し、欧州でも有数の貯蔵能力を誇る。スナムにはイタリア政府系機関が30.8%を出資している。