ブルガリア警察はここ1年ばかり、大々的な家宅捜索でたびたび注目を集めてきた。ただ、その理由は、捜索の成果というよりユニークな「コードネーム」にある。
\「生意気野郎」、「蛸(たこ)」、「チョウチョウ」といったこれらのコードネームは、ツヴェタン・ツヴェタノフ内務相が名付け親と言われる。最新作は食肉業者を対象に行われた家宅捜索「Dupetata」で、またもやその発想の豊かさを見せつけた。
\Dupetataはブルガリア語で「尻」を意味する「Dupe」の複数形。肉屋の用語では、ハム製造時に残る先端部分を指す。
\2週間ほど前に行われたこの家宅捜査「お尻」作戦では、劣悪な肉加工品を販売した疑いで、国内11カ所の食肉加工工場に警察官と食品衛生検査官が押し入り、ハム・ウィンナー類190キロを押収した。これらの製品は、ドイツやイタリア、スペインから輸入された「残り物」で、改めて包装の上、国産品より安い値段で販売されている。
\ミロスラフ・ナイデノフ農業相は「お尻」作戦が、「劣悪な食品の販売を食い止め、国民の健康を守るための一里塚」であると自賛。「20年にわたり、われわれブルガリア国民は残飯を食べ続け、結果として死亡率が欧州連合(EU)で最も高くなってしまった」と話し、8月に導入されたブルガリア食品品質基準(BDS)の意義を強調している。
\一方、捜査の対象となった輸入業者は、今回の措置がBDSを満たす高額な製品の販売を狙う国内食肉加工業同盟の陰謀によるものと確信している。安価な加工肉の輸入販売会社を所有するゲオルギ・コスタディノフ氏は、「当社の製品はあらゆる食品基準を満たしており、EUの他国で売られているものと同品質」と憤慨。国を起訴し、欧州委員会に事の詳細を報告する構えだ。
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