中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2011/4/20

コーヒーブレイク

チェコがポーランドに領土割譲

この記事の要約

チェコのラジオ放送によると、同国はポーランドに368ヘクタールの領土を割譲する計画だ。1958年の国境画定における不公平を是正する目的だが、国境沿いのチェコ自治体では抗議の声があがっている。チェコ政府はポーランド政府に買 […]

チェコのラジオ放送によると、同国はポーランドに368ヘクタールの領土を割譲する計画だ。1958年の国境画定における不公平を是正する目的だが、国境沿いのチェコ自治体では抗議の声があがっている。チェコ政府はポーランド政府に買取りを提案したが拒否に遭い、今回の決定に至ったと説明している。

\

割譲されるのは、チェコ・リベレツ県にある公有地。ポーランドのシフィエラドゥフ・ズトルイとボガティニャの間に位置する。しかし、対象となる土地があるチェコの自治体はこれに強く反対。村の面積が14ヘクタール減るホルニー・ジャスニツェのハロウン村長は「公有地とはいえ、割譲されると自治体の土地税収入が大幅に減る」、「政府はポーランドに領土を渡さないと約束したのに、話を進めてしまった」と怒りをあらわにしている。ある自治体の首長は政府に対し、約790キロにわたる両国の国境を30センチずつ、チェコ側に動かすという提案をしたが、民有地を割譲できないとの理由で却下されたという。

\

オーストリア・ハンガリー帝国の崩壊で成立した中東欧諸国では、複雑な民族構成や建国後の歴史が絡み合い、国境問題が対立の火種となってきた。1990年代のユーゴスラビア紛争はその代表的な例だ。第2次世界大戦後のチェコ・スロバキアとポーランドの間の国境交渉は戦争にはならなかったものの、同様に難しい背景があった。

\

1958年に国境協定が結ばれたが、測量ミスなどが原因で、チェコ・スロバキア(当時)からポーランドに割譲された領土が837.46ヘクタールだったのに対し、逆にチェコ・スロバキアに組み込まれたのは1,205.9ヘクタールに上った。この問題を解決するため、両国は1992年、ポーランド内務省内に常任委員会を設置。今回、交換領土の面積の差を是正する方向で、新たな国境を引くこととなった。

\