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2013/8/21

コーヒーブレイク

98歳の戦犯容疑者が死亡~ハンガリー

この記事の要約

第2次世界大戦中に1万6,000人のユダヤ人移送に携わった疑いで告訴されていたラースロー・チャタリー氏(98)が10日、ブダペストで死亡した。報道によると、死因は肺炎だった。\ チャタリー氏は警察官で、1944年に当時ハ […]

第2次世界大戦中に1万6,000人のユダヤ人移送に携わった疑いで告訴されていたラースロー・チャタリー氏(98)が10日、ブダペストで死亡した。報道によると、死因は肺炎だった。

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チャタリー氏は警察官で、1944年に当時ハンガリー領だったコシツェ(現スロバキア領)の収容所の指揮官を務めていたという。ここからアウシュビッツなどの強制収容所に1万2,000人のユダヤ人を移送したとされる。

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また、収容者を無作為にムチで打ったり、殴ったりなどの残虐行為があったともいう。

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チャタリー氏は戦後、カナダに入国し、1997年にカナダ国籍をはく奪されるまで同国で生活していた。その後、ハンガリーへ戻ったが、昨年、米国のサイモン・ヴィーゼンタール・センターが当局に居所を伝えるまで、ブダペストで不自由なく生活していたという。

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ハンガリー検察当局は今年6月に同氏を起訴した。チェコスロバキアではすでに1948年に被告人不在のまま死刑判決が下り、今年4月、ハンガリーに引渡しを申請する前提を整える目的で無期懲役に減刑された。

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戦後68年が経過して生存者が減少する中で、ナチス時代の戦犯を訴追する最後の努力が続けられている。現ウクライナのソビボル強制収容所の看守だったジョン・デミャニュク氏については、加担したという具体的な事実の証明がないまま、2011年に独ミュンヘンの第一審が約2万人の殺人ほう助罪で実刑判決を言い渡した。強制収容所に務めていた事実だけでほう助が成立するという画期的判決だった。

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これを機に、ドイツでは国内に居住するアウシュビッツの元看守50人に関する調査が始まり、今年5月には93歳のハンス・リプシス氏が逮捕されている。現在、捜査対象となっている人の中には女性6人も含まれているもようだ。

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