先月30日にブラチスラバ郊外で起こった銃乱射事件を受けて、スロバキア政府が銃刀法の改正に動いている。銃の所持基準を厳しくすることで乱用を防ぐ目的だが、その実効性には疑問の声もあがっている。
\内務省が提示した改正案は、◇許可の有効期間を現行の10年から5年に短縮◇許可取得時に臨床心理士による検査を義務付け◇自動給弾装置を有し、自動銃に外見、仕組みが類似する銃を禁止◇自動銃の復元モデルを禁止――などを内容としている。22日に閣議で討議、来年初めの施行が予定される。
\スロバキア射撃者協会(SSZ)は内務省案について、スポーツ競技としての射撃では、法案が禁止する種類の銃は使わないと断った上で、禁止対象となる銃の定義を明確化する必要を指摘する。銃所持者の利益団体であるLegis Telumは、収集家を除けば一般市民で自動銃を持っている人は基本的におらず、また、単射式銃を連射できるように改造するのは極めて困難として、現行法でも十分との立場を示している。
\心理テストについてSSZは、すべての許可申請者に心理療法士による検査を受けさせるのは行き過ぎとみる。Legis Telumも、現行法の枠内で対応可能との考えだ。心理学協会でさえ、検査しても潜在的犯罪者を見つけ出せないケースがありうるとコメントしている。
\スロバキアで銃所持の許可を受けている人の数は、全人口の約3%に当たる15万7,500人。ただ、許可を必要としない空気銃を含めると、10%前後が銃を持っているもようだ。現行法では、連射可能な自動銃は禁止されている。
\乱射事件はブラチスラバ郊外の住宅街で起こった。犯人は48歳の男性で、隣家に住む家族を射撃した後、道路でも乱射を続け、7人を殺害、15人に傷を負わせた。警察との銃撃戦で負傷した後、自ら命を絶った。犯行の動機は明らかになっていない。事件で使われたのは、現行法で所持が許されている単射式ライフルで、不法にも連射できるように改造されていた。
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