ロシアでワインを飲む人が増えている。特にスペイン産が人気で、昨年は販売量でフランス産を追い抜いた。天候不順でフランスワインの生産量が減ったのもあるが、香り豊かでフルーティーなスペイン・ワインが、ソ連時代から一般的だったグルジアやクリム半島のワインに似ていて、ロシア人の口に合うという事情もあるようだ。
\今年4月にスペインのワイナリー、ボデガス・エル・シダコスを買収したロシア企業は、3億ユーロを投資して、輸出を柱とした事業へ再編する計画だ。もちろん、主力市場はロシアという。
\ロシア企業が外国のアルコール飲料メーカーを買収することは、これまでほとんどなかった。が、欧州債務危機の影響で欧州資産の価値が下がり買収価格が安くなったこと、経営難に直面するスペインのワイナリーが増加したことなどが、今回の買収の背景にあるようだ。
\一方、伝統的なウォッカの人気は下がりつつある。その代り、ウィスキー、コニャック、ティキーラといった他の蒸留酒は人気が急上昇中だ。その陰で、酒税増税を背景に闇(やみ)酒の流通も増えている。
\業界関係者はロシア人の味覚が代わりつつあると話す。ビールも安いものより、おいしいものが売れるようになっているといい、少しずつ「グルメ化」が進んでいるようだ。
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