中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/9/22

総合・マクロ

資本市場の育成が安定成長のカギ=EBRD総裁

この記事の要約

欧州復興開発銀行(EBRD)のミロー総裁は、オーストリアの日刊紙『Die Presse』(オンライン版、19日付)とのインタビューで、中東欧の安定した経済成長には、地元資本市場の育成が肝要であるとの見方を示した。また、財 […]

欧州復興開発銀行(EBRD)のミロー総裁は、オーストリアの日刊紙『Die Presse』(オンライン版、19日付)とのインタビューで、中東欧の安定した経済成長には、地元資本市場の育成が肝要であるとの見方を示した。また、財務改善にも関わらず、中東欧諸国への投資が活発化していない理由としては、中南米や東南アジアなど競合市場の存在を指摘した。

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リーマンショックの中東欧市場への影響についてミロー総裁は、為替リスクをカバーできない個人や小規模企業に対する外貨建て融資が数多く実施されたことが、危機を拡大させる一因になったと分析。また、経済が外資系銀行や国外投資家からの資金に依存し過ぎていたことで、ラトビア、リトアニア、ルーマニアの建設業界が過度に急成長したり、ハンガリーが財政危機に直面するなどの問題が生まれたとの立場を示した。

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将来の危機を防ぐには、地元の資金を地元経済に投資するシステム(資本市場)の育成が肝要との考えだ。その前提条件として、(1)資金を集める機関(金融・投資機関)(2)公平な規制(3)汚職のない規制当局(4)長期的かつ説得力のある経済政策――の存在を挙げた。特に(4)は投資家の信用を得る上で重要であり、中東欧諸国のユーロ参加はその枠組みを整えるという点で有意義とみている。

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国際通貨基金(IMF)の融資条件が厳しすぎるとの批判については、今回の金融危機克服に果たしたIMFの役割を振り返れば、批判は当たらないと述べた。また、バルト3国で、財政緊縮に対する国民の反発が小さい理由としては、国民性に加え、冷戦終結で獲得した独立を何としても守りたいという共通意思が存在していることを挙げた。

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中南米や東南アジアとの競争では、コスト面だけにとどまらない中東欧独自の魅力を投資家にアピールする必要を指摘。現在は労働力の質の高さが強みとなっているが、これを維持するには大変な努力が要るとの見方を明らかにした。

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