中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/9/22

CIS諸国

ウクライナ、電力価格規制を撤廃へ

この記事の要約

ウクライナ政府は、電力の小売価格規制を段階的に撤廃する方針だ。電力の小売価格が発電コストを大幅に下回る水準に設定されていることにより、電力会社の収益が圧迫されているため。\ ウクライナでは一般家庭向け電力小売価格は国家電 […]

ウクライナ政府は、電力の小売価格規制を段階的に撤廃する方針だ。電力の小売価格が発電コストを大幅に下回る水準に設定されていることにより、電力会社の収益が圧迫されているため。

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ウクライナでは一般家庭向け電力小売価格は国家電力規制委員会(NERC)が決定している。現行価格は1キロワット時(kWh)28.36コペイカ(2.42ユーロセント)で、国営電力会社Energeticheskaya kompaniya Ukrainy(EKU)が算出した経済的に妥当な価格水準である84コペイカ(8.36ユーロセント)を大幅に下回っている。こうした現状を受け、政府は6月、今後4年間で家庭向け電力小売価格を「経済的根拠に基づいた水準」に引き上げることを決定した。なお、法人顧客向け電力小売価格は、鉄鋼業界と化学産業が52.04コペイカ、その他の産業は68.04コペイカで、家庭向けより高く設定されているものの、経済的に妥当な水準を下回っている。

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電力小売価格が発電コストを下回る水準に抑えられていることで、電力各社の収益に重石となっている。2009年の国営電力会社の損失額の合計は9億3,600万フリブナに上り、今年は第1四半期だけで4億2,300万フリブナに達している。負債総額は過去1年間で27%増加して160億フリブナに膨らみ、1-3月期の収益率はマイナス9%だった。キエフに本社を置く投資銀行ドラゴンキャピタルのアナリスト、サクヴァ氏は、「電力価格制度の改革が進まない限り、電力会社の財務状況は悪化の一途を辿るだろう」と指摘する。(1UAH=10.77JPY、「目で見る東欧・CIS経済」を参照)

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