中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/9/29

ロシア

中露首脳、エネルギー協力強化で合意

この記事の要約

ロシアのメドベージェフ大統領と中国の胡錦濤国家主席は27日、北京で会談し、エネルギー分野における両国の提携強化に向けた基本合意書に調印した。エネルギーの供給大国と消費大国が協力する形で、急速に増加する中国のエネルギー需要 […]

ロシアのメドベージェフ大統領と中国の胡錦濤国家主席は27日、北京で会談し、エネルギー分野における両国の提携強化に向けた基本合意書に調印した。エネルギーの供給大国と消費大国が協力する形で、急速に増加する中国のエネルギー需要をロシアからの供給でカバーすることになる。

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ロシアにとっては成長市場のアジアに大きな新規顧客を得るという事実に加え、欧州取引の比重が小さくなり、欧州諸国との価格交渉力が強まるという利点がある。また、中国による資金援助で新鉱区の開発やインフラ設備の拡充が進められるという読みもある。一方の中国は、膨張するエネルギー需要をまかなうだけでなく、ロシアとの協力で石炭に代わるエネルギー源の利用拡大を速やかに実現できる。

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中国は大気汚染対策の一環として、エネルギー源に占める石炭の比率を低下させる方針を明らかにしている。これに向けてガスの利用をエネルギー消費全体の10%に高める目標だ。また、原子力・再生可能エネルギーの利用も計画している。

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今回の合意では、石油、ガス、原子力の各部門で戦略提携を拡大することが計画されている。石油については、来年から新設の「東シベリア太平洋パイプライン(ESPO)」を通じ、年間1,500万トンの石油をロシアから中国に供給する。これに関連し、石油大手のロスネフチと石油輸送のトランスネフチが、中国開発銀行から総額250億ドルの融資を受ける。また、天津ではロスネフチと中国石油天然ガス集団(CNPC)が、50億米ドルを投じて石油精製所を建設する計画だ。

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天然ガスについても、ロシアは2015年から中国に年間300億立方メートルを供給する。取引価格は来年6月末までに決定する見通し。

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原子力分野では、ロシア原子力公社(ロスアトム)が上海の近くにある田湾原子力発電所で、原子炉2基を建設する。出力はそれぞれ1,000メガワット。同発電所ではすでにロシア製原子炉2基が稼動している。ロスアトムによると、ロシアあるいは第3国におけるウラン鉱山の共同開発も視野に入れている。

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