トルコ経済の回復ぶりが目覚しい。2009年は金融危機の影響で前年比4.7%減と8年ぶりのマイナス成長に転落したが、10年は第1四半期が前年同期比11.7%、第2四半期は10.3%と2けた成長を達成した。通年の成長率は7%が見込まれている。
\大手銀行ヤピ・クレディ銀行のチーフエコノミスト、アクチャイ氏は、「トルコ経済の成長は始まったばかりであり、その将来は明るい」と述べ、低金利が成長を下支えするとの見方を示す。中央銀行は世界金融危機を受けて08年11月から金融緩和を急速に推し進め、09年11月まで累計で10.25%という大幅な利下げを実施した。政策金利は今年9月時点で7%と歴史的な低水準にある。中銀は、今年末のインフレ目標を5.5%に設定しており、金融政策は当面現状維持となる公算が大きいと見られる。
\トルコの成長を後押しする要因として、中間所得者層の拡大が挙げられる。同国では人口の20%を占める富裕層が個人消費に占める割合が03年の39.8%から08年に36.5%に下落した一方で、人口の60%を構成する中間所得者層のシェアは拡大した。アクチャイ氏は、「トルコの歴史が始まって以来、初めて中間層が形成され、持続可能な成長を支える存在となっている」と指摘する。
\トルコにとって最大の輸出相手国は欧州連合(EU)だが、総輸出に占めるEUのシェアは07年の56%から09年は46%に低下した。一方で中東諸国のシェアは14%から18%に上昇しており、中東欧諸国への輸出も増加するなど、仕向け先の分散化が進んでいる。カクチャイ氏は、「こうした傾向はリスクを低下させ、外的ショックに対する脆弱性を低減させることにつながると同時に、将来にわたって持続する成長を可能にする」と分析している。
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