カザフスタン産業省は12日、ロシア産金大手ポリュスとの統合につながるカザフ・ゴールドの第三者割当増資を無効にすると発表した。取引に法違反の疑いが生じたため。両社は統合に向けた行政手続きをすべて済ませ、7月下旬の株主総会で承認を得るだけとなっていたが、一転して統合は暗礁に乗り上げた。
\カザフ政府が無効としたのは、6月30日にカザフ・ゴールドがポリュスを引受先として実施した第三者割当増資。ロシア日刊紙『コメルサント』によると、カザフ・ゴールド株式は市場価格で1株当たり5米ドルを超える値がついているにもかかわらず、取引価格は1株1.5ドルと不当に低く、カザフ政府はこの点を問題視しているという。
\ただ、この取引条件は2009年初めに両社の間ですでに合意していたとされる。同紙では、ポリュスがカザフ・ゴールドの大株主で前経営者のアサウバエフ一族を、横領と決算報告書の虚偽記載で英ロンドン高等裁判所に訴えた直後にカザフ政府の決定が下ったことから、アサウバエフ一族が政府に取引を妨害するよう働きかけたと指摘している。
\第三者割当増資で、ポリュスによるカザフ・ゴールドの保有株式比率は50.1%から65%に上昇し、アサウバエフ一族は20%から8.8%に低下するはずだった。両社の統合には株主の3分の2以上の承認が必要で、ポリュスはカザフ・ゴールドの少数株主を取り込んで承認に持ち込む考えだったが、持ち株比率が50.1%にとどまるため統合の行方は不透明となった。中央アジア・CIS研究所のグロジン氏は「ポリュスがアサウバエフ一族などカザフの大株主と和解できなければ、同国で開発免許の停止や罰金などの不利益を被る可能性がある」と、カザフ政府の圧力を懸念した。
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