ロシア政府が国内自動車産業の保護を強化する方針だ。プーチン首相は30日、報道専門テレビ局ヴェスチ24の取材に対し、外国車の輸入にかかる関税率を段階的に引き上げる考えを示した。外国メーカーが輸入する部品に対する関税についても、産業省が軽減税率の適用基準を厳格化する方向で、外国メーカーは市場攻略作戦の修正を迫られそうだ。
\首相は、「外国からゴミ同様の老朽車が流入し、ロシアがスクラップ場と化するのを黙認できない」と話し、外国メーカーに現地生産を本格化するよう求めた。技術移転を含め、ロシアでの生産を拡大すべきとの立場だ。保護主義との批判が出ることを見越し「ロシアは世界貿易機関(WTO)に加盟しておらず、問題はない」と言明し、強気の姿勢を示している。
\輸入関税引き上げの詳細は未公表だが、新車と中古車の双方が対象となるという。現在の税率は新車で乗用車が30%、トラックが25%。中古車も乗用車が最低50%、トラックが同100%と高水準になっている。
\現地生産を目的とした部品輸入については、産業省が軽減税制の適用基準の厳格化を準備中だ。現地生産を開始してから6年で、◇年産規模が30万台超◇部品の現調率60%以上◇一定量のエンジン、変速機を現地生産――などの達成を求める内容で、外国メーカーにとって厳しい条件となっている。2カ月以内に閣議決定に持ち込みたい考えだ。
\しかし、この措置に現地生産を促す効果があるかは未知数。投資に見合うだけのロシア販売台数がいつ達成できるかいう問題に加え、高い品質を保証する現地部品メーカーの確保が困難という事情があるためだ。
\ロシア政府は、これまでも一貫して国内産業保護の立場をとってきた。09年初めに自動車輸入関税を引き上げたほか、今年3月には新車買い替え奨励措置を国内メーカーに有利な条件で導入している。
\金融危機で大きな打撃を受けたロシア自動車産業は、予想を上回る速さで回復している。今年の販売台数は約170万台、15年には300万台に拡大すると予想されている。
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