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2010/9/8

ハンガリー

オルバン政権、独自の経済運営目指す

この記事の要約

ハンガリーは7月、金融支援をめぐる国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)との交渉を打ち切った。その背景には、国際機関の介入を受けずに独自の経済政策を追求したいオルバン政権の姿勢がある。\ リーマン・ショックを引き金とす […]

ハンガリーは7月、金融支援をめぐる国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)との交渉を打ち切った。その背景には、国際機関の介入を受けずに独自の経済政策を追求したいオルバン政権の姿勢がある。

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リーマン・ショックを引き金とする金融危機後、ハンガリーはIMFとEUから200億ユーロの緊急融資を受け、財政再建に取り組んできた。しかし、前社会党政権の緊縮財政政策を批判し、経済成長と雇用創出を最優先課題に掲げて4月の総選挙で勝利したオルバン首相率いる中道右派政権は、ハンガリーが「経済的な自治を復活」させる必要があると主張、融資の実行に向け追加の財政措置の実施を求めるIMF、EUとの協議を中断した。オルバン首相のこうした強気な姿勢を国民は支持しているようだ。世論調査機関メディアンによると、オルバン首相は「好きな政治家」ランキングでトップに立ち、同首相を「支持する」と回答した人は3人に2人に上っている。

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ハンガリーは昨年7月からIMF融資枠の引き出しを行っておらず、必要な資金はマーケットから自力で調達できると主張している。ただ専門家は、資金調達能力はIMFやEUによるセーフティーネットを前提としたものであると指摘しており、これら国際機関の後ろ盾がない状態で資金を調達し続けることができるかは疑問だ。こうした懸念を象徴するように、オルバン政権の発足以来、国外投資家によるハンガリー国債の保有は7.7%減少、国債の保証コストを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドは90%も上昇した。ハンガリー政府との交渉で責任者を務めたIMFのローゼンベルク氏は先ごろ、「我々は市場心理が急激に悪化する例を過去に目にしている」と述べ、同国に警告を発している。

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