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2010/9/15

ロシア

サウス・ストリームの実現可能性は低い=独元外相

この記事の要約

ナブッコ・プロジェクトに関し、独RWEの顧問を務めるヨシュカ・フィッシャー元ドイツ外相は、9日付の独『ハンデルスブラット』紙のインタビューで、ロシアの競合プロジェクト「サウス・ストリーム計画」について、「経済性のみならず […]

ナブッコ・プロジェクトに関し、独RWEの顧問を務めるヨシュカ・フィッシャー元ドイツ外相は、9日付の独『ハンデルスブラット』紙のインタビューで、ロシアの競合プロジェクト「サウス・ストリーム計画」について、「経済性のみならず政治的な見地からも真剣に検討するに値しない」という厳しい見方を明らかにした。ナブッコ計画を妨害する目的で持ち出されたもので、実現の可能性は低いとみているもようだ。難航が伝えられているナブッコ計画については、事業が堅実である証拠として国際金融機関3社が融資を検討していることを指摘した。

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フィッシャー顧問は、サウス・ストリームは従来の供給源から欧州にガスを運ぶために、ウクライナとベラルーシを迂回するルートを新設するというもので、「欧州が目指すエネルギー源の多様化には貢献しない」と話した。これが政治の道具とされるのであれば、欧州の利益にも反するとの見解だ。

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また、サウス・ストリームのプロジェクト規模は200億ユーロ超と、ノルド・ストリームの11億ユーロやナブッコの7~8億ユーロと比べて桁違いに大きいと指摘。「これまで、費用面を含めて具体的な決定は何一つなされていない」として、計画自体の実現可能性に疑問を投げかけた。

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ナブッコ計画実現の難関となっている供給国の確保では、トルクメニスタン、アゼルバイジャンなどの供給候補国が互いの動向を見守っていることが前進の妨げになっているとみている。1国が契約に動けば、他もこれに続くと楽観的だ。

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ロシア政府はこれまで幾度となく、ナブッコ計画の実現を妨げる方策を採ってきた。最近では2日にアゼルバイジャン産ガスの調達を来年20億立方メートルに倍増させることで同国の国営石油公社(Socar)と合意。12年からはさらに40億立方メートルへ増やす方向で交渉を進めている。ナブッコ計画では年間輸送量310億立方メートルのうち、3分の1程度をアゼル産ガスに充てる予定で、同国の動向には注目が集まる。ただ、新ガス田の開発で同国の生産量が大きく伸びる見通しであるため、現時点でロシアへの供給拡大がナブッコを揺るがす危険はなさそうだ。

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