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2010/12/8

ポーランド

ポーランド経済が堅調、7-9月期GDPは4.2%増

この記事の要約

ポーランド中央統計局(GUS)が11月30日発表した2010年7-9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.2%増となり、市場予想(3.6~3.8%)を上回る成長を記録した。安定した雇用を背景に個人消費が堅調なうえ、ド […]

ポーランド中央統計局(GUS)が11月30日発表した2010年7-9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.2%増となり、市場予想(3.6~3.8%)を上回る成長を記録した。安定した雇用を背景に個人消費が堅調なうえ、ドイツ経済を追い風とする輸出が好調で、08年7-9月期以来の伸び幅となった。今年に入り、1-3月期が3.0%、4-6月が3.5%と順調に成長しており、昨年、欧州連合(EU)加盟国で唯一プラス成長を達成したポーランド経済の力強さが際立っている。

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7-9月期の内需は個人消費が前年同期比3.5%増加し、前期の伸び率3%を上回った。総固定資本形成は、企業投資がまだ弱く、0.4%増の小幅の伸びにとどまったものの、前期の1.7%のマイナスからプラスに転じた。ポーランド大手銀行バンク・ザホドニWBK(BZ WBK)によると、企業の収益は危機前の水準に回復しており、10-12月期は投資の伸びが期待できるという。輸出は最大の輸出先であるドイツ経済の大幅回復を受け、好調だった。

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ポーランド中銀は今年のGDP成長率を3.5%と予測。11年は4.3%増を見込んでいる。欧州委員会も11月29日に発表した秋季経済予測で、同国の今年のGDP成長率を春季予測の2.7%から3.5%に上方修正した。欧州連合(EU)平均成長率(1.8%)のほぼ2倍にあたる。欧州委は◇雇用安定による個人消費の増加◇EU構造基金を利用した投資事業や12年に開催される欧州サッカー杯向けのインフラプロジェクトの増加◇輸出を左右するドイツ経済の安定成長――がプラス材料となり、同国経済が11、12年もそれぞれ3.9%、4.2%成長すると予想している。

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欧州委は一方で、財政赤字削減の遅れを懸念材料に挙げた。ポーランド財務省は10月に今年の財政赤字が対GDP比で09年の7.2%から7.9%に拡大し、公的債務が09年末の同50.9%から55.4%に膨らむとの見通しを明らかにした。11、12年には財政赤字のGDP比は6.6%、6.0%と減少すると予想されるものの、「2013年に3%以下」という目標達成は難しい状態。さらに欧州委は、公的債務残高のGDP比は12年にほぼ60%に達し、15年のユーロ導入が困難になる恐れがあるとしている。

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公的債務削減には、歳出削減を中心とする長期的視野に立った財政再建策が必要。ポーランドは来年、総選挙を控えており、財政再建への取り組みが本格化するのは選挙後になる見通しだ。

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