ポーランドの電力価格が上昇している。経済成長に伴う電力需要が拡大している一方で、国内発電所は老朽化が進み、需要に対応するのが難しくなっており、将来的にエネルギーの輸入依存が加速する恐れがあると専門家は警告している。
\ブルームバーグが電力ブローカー大手4社からの情報をもとにまとめたところによると、11月8日時点のポーランドの電力取引価格は1メガワット(MW)あたり49.07ユーロ(193ズロチ)と、隣国ドイツの46.60ユーロを2.47ユーロ上回っている。スウェーデン電力大手ヴァッテンフォールのチーフストラテジスト、パヴェル・スモレン氏は、ポーランドでは金融危機後も電力需要が衰えず、消費は今後も拡大を続けるとみられる一方で、電力各社は新規投資に消極的であり、近い将来に電力の供給能力不足に陥る可能性がある指摘する。電力大手PSEによると、ポーランドのドイツ、チェコ、スウェーデンへの電力輸出は06~09年に40%減少した一方、これらの国々からの輸入は55%増加した。
\ポーランドの石炭火力発電所の7割は建設から30年以上が経過し老朽化が進んでおり、設備の更新は喫緊の課題となっている。スモレン氏は、発電所への投資が進まない理由として、欧州連合(EU)の排出権取引制度(EU-ETS)を挙げる。EU-ETSの下では、ポーランドなど新規加盟国の既存の発電所は2013年以降も特別措置として排出枠の無償割当が認められている。ただし、新規に建設される発電所は特別措置の対象から除外されるため、老朽化した既存発電所からの電力が、効率の高い新規発電所からの電力の価格を下回る可能性があるという。
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