中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/12/15

総合・マクロ

中東欧の経済回復、内需がけん引

この記事の要約

中東欧の経済回復が本格化している。2010年第3四半期の統計値をみると、経済成長の主因がこれまでの輸出主導から内需拡大にシフトしており、今後も着実に景気が改善しそうだ。\ 第3四半期の国内総生産(GDP)成長率(前年同期 […]

中東欧の経済回復が本格化している。2010年第3四半期の統計値をみると、経済成長の主因がこれまでの輸出主導から内需拡大にシフトしており、今後も着実に景気が改善しそうだ。

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第3四半期の国内総生産(GDP)成長率(前年同期比)は、ハンガリーで1.7%、チェコで2.8%、エストニアで5%、ブルガリアで0.5%、ポーランドで4.2%を記録した。ロンドンのバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BOAメリルリンチ)では、「過去5四半期は輸出がけん引してきたが、ここにきて国内消費が改善している。景気拡大ではないにしても、経済が着実に回復していることは確か」とコメントしている。

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ハンガリーの家計最終消費支出は前年同期比で1.2%拡大し、2008年第3四半期後初めてプラスに転じた。エストニアも3%の減少から1%の増加に転じた。チェコは1.2%増。

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来月のユーロ導入を予定するエストニアは、輸出が36%増加し、29%増だった前四半期を上回る大幅な伸びを示した。チェコも15.4%増、ハンガリーも13.9%増と二桁成長を記録した。BOAメリルリンチによると、中東欧諸国の多くは、自力成長によってインフレが加速する段階にまだ達しておらず、好景気・低金利という景気回復への好条件がそろっている。

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■利上げへの動きが顕著に

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ただ、今後は物価上昇局面に入ることが確実だ。ハンガリー中央銀行は先月、政府の財務政策を理由に利上げに踏み切った。ポーランドも3カ月以内に金利を引き上げる見通しだ。

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今年通期で3.8%の経済成長が見込まれるロシアでも、年間インフレ率が8.4%に上昇する可能性が指摘されており、中央銀行は来年第1四半期の利上げを検討している。

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