中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/12/15

ロシア

18年のサッカーW杯、ロシア開催が決定

この記事の要約

国際サッカー連盟(FIFA)は2日、サッカー・ワールドカップ(W杯)の2018年開催地にロシアを選出した。14年の冬季オリンピックのソチ開催に続き、プーチン首相の精力的な活動が実を結んだ格好だ。同首相によると、ロシア政府 […]

国際サッカー連盟(FIFA)は2日、サッカー・ワールドカップ(W杯)の2018年開催地にロシアを選出した。14年の冬季オリンピックのソチ開催に続き、プーチン首相の精力的な活動が実を結んだ格好だ。同首相によると、ロシア政府はサッカースタジアムの新設や拡張に3,000億ルーブル(96億ドル)を投じる方針。UralSib Financialのアナリストは、W杯開催準備で国内の鉄鋼、建設、運輸部門が恩恵を受けるほか、インフラプロジェクト向けに官民パートナーシップ(PPP)や外国直接投資が拡大すると期待を寄せる。

\

ロシアはW杯のために、13のサッカー会場を新設し、既存の3会場を拡張する。総工費は38億ドルに上る見通し。これに付随インフラのコストがかかるため、政府は会場整備費用だけで約100億ドルを拠出する計画だ。開催準備コストについて、外国貿易銀行(VTB)は200億ドル、現地経済紙『ベドモスチ』は500億ドルと試算している。

\

16会場は大きく分けて、サンクトペテルブルク、モスクワ、ソチ、ヴォルガ川流域を中心とする4地域に分散される。会場のある13都市は北西のカリーニングラードから南東のエカテリングブルクまでロシアの欧州地域全体に広がっており、交通網や宿泊施設の整備は不可欠。政府はモスクワにあるシェレメーチエヴォ国際空港、ドモジェドヴォ国際空港、ブヌコボ空港を近代化して、空港能力を倍増するほか、外国の大都市と会場都市を結ぶ直行便を増やすことを計画している。モスクワとサンクトペテルブルクの渋滞緩和、開催地域の道路と高速鉄道網の拡張、改修も必要だ。

\

また、FIFAは、1万9,000のホテルを新築、改修する必要があるとして、観光インフラの整備コストが110億ドルに上ると試算。さらに、ブロードバンドやデータ通信、TV・放送など通信インフラの整備、テロ対策なども必要なことから、UralSib Financial によると、W杯開催の総コストは5,000億ドルに上る見通しだ。このため、政府の借金が開催前の3~4年間、国内総生産(GDP)の最大15%に上昇する恐れもあるという。

\

\

■プーチン首相が活躍

\

\

W杯の招致活動ではプーチン首相の活躍が目立った。開催地決定の日のプレゼンにはあえて欠席したものの、ロシア開催が決定するやチューリッヒに飛び、W杯を成功させると約束した。一方、メドベージェフ大統領はツイッターで「万歳!ロシアが18年W杯の開催国に決まった」と喜びを表明したにとどまり、行動の人、プーチン首相との対照が際立った。

\

プーチン首相は12年、18年の大統領選への出馬について沈黙を守っているが、出馬すれば当選する確率は高く、冬季オリンピックもサッカーW杯も立役者のプーチン大統領の下で開催される可能性も出て来た。

\