世界銀行は9日、ロシアにおける再生可能エネルギー産業振興計画(「ロシア再生可能エネルギープログラム」)の開始を宣言した。投資総額は1億6,500万米ドル。今後5年にわたり、法整備・奨励措置導入などの政策面で政府をサポートするほか、個別プロジェクトへ資金を投下する。これにより、再可エネ産業を立ち上げ、他の機関や企業による投資を呼び込む狙いだ。
\同プログラムは、世銀の民間投資部門である国際金融公社(IFC)、地球環境ファシリティ(GEF)、ロシアエネルギー庁が共同で推進する。GEFは、再可エネ関連プロジェクトを促進する法的枠組みをロシア政府が整備するにあたり、ノウハウを提供する。同目的に1,000万ドルを支出する。IFCは、再可エネプロジェクトに1億5,000万ドルを直接投資する。欧州復興開発銀行(ERBD)も500万ドルを投資する見通し。
\IFCは今後5年間で、バイオマス・風力発電を中心に約30件のプロジェクトに資金を投じる計画だ。その結果、再可エネ発電容量が205メガワット拡大し、地球温暖化ガスの年間排出量を500万トン削減できるという。
\ロシアは温暖化ガスの排出量が世界で4番目に多い。国内発電量の68%が石油、天然ガス、石炭による火力発電で、再可エネの比率は1%にも満たない。政府は2020年までに再可エネ比率を4.5%に引き上げる目標だ。米コンサルティング大手のマッキンゼーは、2030年までに7.5%に拡大させることが可能とみている。
\IFCの東欧・中央アジア投資部門のストイリコビッチ氏は記者会見で、「この種のプロジェクトはIFCとして初めてだが、ロシアを対象国としたのは偶然ではなく、再可エネルギーが成長する可能性が極めて高いためだ」と話し、その市場潜在性を強調している。
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