中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/12/22

総合・マクロ

ポーランドと欧州委、財政赤字の査定ルールで合意

この記事の要約

ポーランドのコテキ副財務相は10日、ポーランド政府と欧州連合(EU)の欧州委員会が、加盟国の財政赤字の査定ルールについて、「年金改革コストを考慮に入れる」ことで合意したと発表した。年金改革コストが財政赤字から除外された場 […]

ポーランドのコテキ副財務相は10日、ポーランド政府と欧州連合(EU)の欧州委員会が、加盟国の財政赤字の査定ルールについて、「年金改革コストを考慮に入れる」ことで合意したと発表した。年金改革コストが財政赤字から除外された場合、ポーランドは赤字幅を大幅に減らすことができる。ただ、「考慮」の詳細が決まるのは、欧州委とEU加盟国が協議を重ねた後の来年上半期になるという。

\

中東欧のEU加盟国は1990年代後半から、それまでの賦課方式の公的年金制度に加え、積立方式の民間年金制度の導入を進めてきた。高齢化社会に対応する措置だが、民間年金基金に対する政府拠出金が財政を圧迫している。このため、ポーランドなど中東欧諸国を中心としたEU9カ国は今年8月、欧州委に共同書簡を送り、財政赤字の査定ルールを変更して年金改革コストを財政赤字から除外するよう求めていた。

\

ハンガリー政府は、同問題に対する欧州委の態度が煮え切らないことから、すでに、民間積立型年金から国民年金への鞍(くら)替えを国民に半ば強制し、民間年金基金の資産3兆フォリントの大半を国民年金基金の資産増加と財政赤字削減に充てる法案を作成。同案は13日、下院で承認された。

\

ポーランドでは、1999年の年金改革以来、政府が民間年金基金に拠出した額は2,110億ズロチに上り、公的債務残高の3分の1を占めている。同国の財政法は公的債務残高の対国内総生産(GDP)比が55%を超えた場合、財政緊縮措置の実施を義務付けているが、政府は

\

年金改革コストが財政赤字から免除された場合、今年のGDP比は当初予想の53%から43%に減少し、厳しい財政緊縮を回避できると見込んでいる。また、EUの安定成長協定が加盟国に義務付けている「単年の財政赤字をGDP比3%以下に抑える」という財政規律も順守しやすくなる。ただ、今年の財政赤字はGDP比7.9%に上昇する見通しだ。(1PLN=27.59JPY、100HUF=39.86JPY)

\