ポーランド政府による国内石油第2位ロトスの株式売却計画が大幅に遅れる見通しだ。政府は当初、保有するロトスの発行済み株式の53.2%を来年3月までに売却する方針を示していたが、トゥスク首相は今月7日、一転して「2012年までにロトスを売却することはない」と発言した。ロシアのメドベージェフ大統領がその前日に、同国企業がロトス株買収に関心を示していると発言しており、首相発言にはロシアをけん制する意図があるという。
\メドベージェフ大統領は6、7日にロシア大統領として8年ぶりにポーランドを訪問。ソ連のポーランド侵攻やカチンの森事件など過去の過ちに誠実に対応していく姿勢を示し、両国関係の修復と新たな始まりを訴えた。同時に、経済関係の強化にも大きな関心を寄せ、複数のロシア企業がロトス株買収に興味を示していることを明らかにした。
\トゥスク首相はメドベージェフ大統領の発言後、「ロシア企業がポーランド国営企業の民営化に参加することはあり得る」と述べる一方、「ロトスは戦略的に重要な企業であり、売却先は慎重に選出する」とロシアの動きをけん制した。ポーランドはガス輸入の大半をロシアに依存しており、石油事業まで同国企業に委ねることには抵抗があるようだ。
\ロシアのシュマトコ・エネルギー相はその後、同国の石油最大手ロスネフチとガス最大手ガスプロムの石油子会社ガスプロムネフチが共同でロトス買収を計画していると発表。15日にはガスプロムネフチ自身が、買収を検討していることを明らかにした。ただ、ロスネフチから共同買収の提案は受けていないという。ロスネフチはロトスの最大の調達先だ。
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