ロシアのカリ肥料大手、ウラルカリが国内の競合、シルヴィニトを買収する。世界的な食糧生産の拡大に伴って肥料の需要が高まることを見越し、合併で市場競争力を強化する狙い。新会社は17日株価ベースでの時価総額が239億米ドルに上り、カリの年産能力は1,150万トンとカナダ・ポタシュの1,200万トンに次いで世界2位に躍り出る。
\両社の20日発表によると、ウラルカリはシルヴィニト株の約20%を14億ドルの現金で買収する。残る株式については株式交換方式で取得する。交換比率はシルヴィニトの普通株1株に対しウラルカリ株133.4株、シルヴィニト優先株1株に対しウラルカリ株51.8株。合併後の継続会社はウラルカリとなる。両社は、来年2月の臨時株主総会および監督当局の承認を得て、来年半ばにも取引を完了する意向だ。
\今回の取引の背景には、ロシアの富豪スレイマン・ケリモフ氏の存在があるとされる。メディア報道によると、同氏は両社の株式をそれぞれ25%握る。戦略的に重要な企業や政府に近い企業に投資して資産を増やしており、今回も肥料業界を有望視しての判断とみられる。
\世界のカリ生産業界は寡占が進んでおり、ウラルカリは規模の拡大で事業展開を有利に進められそうだ。一方、需要家にとっては、メーカーの交渉力が強まることで価格の上昇が懸念される。
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