ロシアでは、景気回復に伴う国民の可処分所得の増加や失業率の改善を背景に、小売業界が息を吹き返している。2010年1~11月の小売売上高は前年同期比4.5%増の14兆7,610億ルーブルとなった。
\世界の新興諸国に小売企業が市場進出を図る際のめやすとなる、米コンサルティング会社A.T.カーニーの「グローバル・リテール・ディベロップメント・インデックス(GRDI)」で、ロシアは10位につける。A.T.カーニーはロシアについて、「欧州最大の消費者市場であり、所得水準の上昇と中間層の拡大も期待でき、長期的な視野を持つ小売業者にとっては大きな成長のチャンスのある市場」と評価する一方で、同国への進出は巨額のコストと時間を要するとしている。昨年9月にモスクワに第1号店を開設した仏カルフールは、「成長の見通しが立たない」として、進出からわずか4カ月で撤退を表明、今年2月にモスクワ店とクラスノダル店の閉鎖を完了した。こうした事例は、外国の小売業者がロシアで成功することの困難さを示している。
\一方、国内の大手小売業者の間では、事業を拡大する動きが加速している。売上ベースで最大手のX5は今年、中小事業者の買収を通じて店舗網を拡大。格安スーパー300店、スーパー20店、ハイパーマーケット10店を傘下に収める。今月初めには624店舗を展開するコペイカの買収を発表した。11年は、人口10万人以下の地方都市への進出を強化する方針だ。店舗数が3,800店舗と国内最大のマグニトは今年、新規出店に総額13億米ドルを投資。9月末までに35カ所のハイパーマーケットを開設した。来年は15億ドルを店舗拡大に投じる計画で、将来的にはハイパーマーケットを100店舗とする考えだ。このほか、業界6位のレンタは、11年に1億7,500万ドルを投じて全国7カ所にハイパーマーケットを開設する計画を明らかにしている。
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