日本を訪問中のヤヌコビッチ・ウクライナ大統領は18日、菅直人首相と会談し、日本企業の投資促進を目的とした相互協定の締結に向け、年内に交渉を開始することで合意した。経済を中心に二国間関係を緊密化する両首脳の意向を反映したもので、日本政府は早期の交渉妥結を目指す方針だ。
\両首脳は、行政手続の迅速化や投資環境の透明性・信頼性の向上など、ウクライナにおける投資環境の整備が外国からの投資を促進するとの見解で一致した。日本政府はこれを支援する目的で、ウクライナへ投資部門専門家を派遣することを約束した。
\また、日本からの物品及びサービスの輸出促進に向けて、国際協力銀行(JBIC)からウクライナ輸出入銀行に対して供与される最大80億円の融資枠を設けることでも合意がみられた。
\日本側は、太陽光・風力発電、断熱、バイオマスなどクリーン発電・環境技術の輸出を念頭に置いているもようだ。一方、ウクライナ側は、採炭や冶金などの投資誘致に強い関心を示している。
\両首脳はさらに、ウクライナの食糧増産の可能性に着目し、農業投資の促進と技術・ノウハウの共有化の重要性を確認。また、ウクライナから日本への農産品安定供給を図っていく姿勢で一致した。
\経済以外でも、◇核軍縮・不拡散分野における協力強化◇日本の安保理常任理事国入りをウクライナが支持◇ポーランドとの共催によるUEFA欧州選手権を来年に控えるウクライナ・サッカー協会と、2002年にサッカー世界選手権(W杯)を韓国と共催した日本サッカー協会との交流強化――などでも合意した。
\ \■日本政府、ウクライナからの排出枠購入に「異存なし」
\ \日本政府筋が13日、ロイター通信に明らかにしたところによると、日本政府はウクライナから二酸化炭素の排出権枠を追加購入することに異存はないとの立場だ。11月に同国へ調査員を派遣して調べた結果、ティモシェンコ前政府と09年に行った排出権取引に問題がなかったことが判明したと説明している。ただ、東京のある排出権ディーラーによると、代金流用疑惑でウクライナへの不信が高まっており、現時点でウクライナからの排出権購入を考える企業はほとんどないという。
\ウクライナは京都議定書で認められた排出権枠に余裕があり、余剰分を他国に販売している。日本政府は、09年に3,000万トンの排出権を購入し、ウクライナにとっては欧州外で最大の「顧客」だ。
\アザロフ現政権は、排出削減と環境プロジェクトに使われるはずだった売却益のうち、3億8,000万ユーロを年金基金と国営ガス企業の債務支払いに流用したとして、ティモシェンコ氏を追及。先月には最高裁判所が同氏から事情聴取した。
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