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2011/2/2

CIS諸国

カザフスタンで繰り上げ大統領選、春にも実施へ

この記事の要約

カザフスタンのナザルバエフ大統領は1月31日のテレビ演説で、来年に予定される大統領選挙を前倒しで実施する方針を示した。理由は明らかにしていない。投票日は決まっていないが、大統領顧問によると春に行う予定という。憲法審議会は […]

カザフスタンのナザルバエフ大統領は1月31日のテレビ演説で、来年に予定される大統領選挙を前倒しで実施する方針を示した。理由は明らかにしていない。投票日は決まっていないが、大統領顧問によると春に行う予定という。憲法審議会は同日、大方の予想に反し、大統領の任期を2020年まで延長する国民投票を違憲とする判断を下していた。

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ナザルバエフ氏(70)はソ連崩壊後の1991年以来20年にわたってカザフスタン大統領を務めてきた。2005年の憲法改正で、同氏に限り大統領三選禁止の適用を除外することし、当選さえすればいつまでも大統領職にとどまれる法的前提を築いた。与党のヌール・オタンが全議席を占める上・下院は先月中旬、来年および2017年に予定される大統領選を中止して、ナザルバエフ大統領の任期を2020年まで延長する国民投票を実施する案を全会一致で可決。メディア報道や集会開催などを通じて、大統領人気の盛り上げを図っていた。

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カザフスタンは石油・ガスなどのエネルギー資源や鉱物資源が豊富で、外国企業は過去20年間に1,500億米ドルを投資してきた。政情は安定しており、唯一のリスクはナザルバエフ氏の後継者問題とされている。

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昨年は旧ソ連諸国で始めて欧州安全保障協力機構(OSCE)の議長国を務めたが、強権的な政治運営が民主化や人権保護を目的の一つとするOSCEの方向性にそぐわないとして批判を受けた経緯がある。実際、OSCEはカザフスタンでは過去20年間、一度として自由な選挙が行われなかったとみている。

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