エジプトで市民による反政府デモが広がりを見せる中、同じイスラム教国である中央アジア5カ国の政権は、事態の推移を注視している。中央アジア諸国とエジプトとの間には長期にわたる独裁や貧困のまん延など類似点が多い。7日付けのロイター通信は、中東の反政府運動が中央アジアに飛び火する可能性について分析している。
\世界の石油埋蔵量の3%を占めるカザフスタンは中央アジア最大の経済大国であり、国民一人当たりの国内総生産(GDP)は9,000米ドルと、エジプトの4倍に達している。天然ガス埋蔵量で世界4位のトルクメニスタンは、反政府活動を徹底的に弾圧する一方で、公共料金の無料化などにより国民の不満を和らげている。ロイター通信は、カザフスタンとトルクメニスタンの人口はそれぞれ1,600万人、1,700万人と比較的小さいことが、豊富な天然資源収入の再分配を容易にしていると指摘する。
\一方、2,800万人と域内最大の人口を抱えるウズベキスタンは事情が異なる。世界有数の産金国であり綿花の輸出国でもある同国は2010年に8%の成長を遂げたが、国民の多くは成長の恩恵を実感できず不満が高まっている。野党勢力のリーダーで、現在ノルウェーに亡命中のムハンマド・カリフ氏はフェルガナニュースのインタビューで、「国民の怒りは年々高まっている」と指摘する。ただ、カリモフ政権による反対派の弾圧や言論・出版の統制は厳しい。また、同国は人口の都市化率が36%と、エジプトやチュニジアに比べて低く、インターネットの普及も遅れていることから、反政府運動が広がる可能性は低いと見られる。
\タジキスタンは、平均月収が80ドルとカザフスタンのわずか6分の1で、貧困層の割合は6割に達する。およそ700万人の人口のうち100万人がロシアなど国外に出稼ぎに出ており、抵抗運動の中心となるべき若者の多くが国外で暮らしている。キルギスは、05年にアカエフ大統領が、昨年4月にバキエフ大統領がそれぞれ政変により失脚、同12月にオトゥンバエワ暫定大統領の与党、社会民主党のアタムバエフ党首を首相とする連立政権が発足し、中央アジア初の議会制民主主義体制が動き出した。
\アゼルバイジャンの政治アナリスト、アリザーデ氏は、中央アジアの民主化の行方について、アラブ諸国の情勢よりもロシアの動向が左右すると指摘。「ロシアの国民が政治エリートに対して反対の声を上げれば、中央アジアに民主化ドミノが波及する可能性がある」と語っている。
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