中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2011/3/23

総合・マクロ

ロシア、対日ガス輸出の拡大を計画

この記事の要約

日本の震災と原発事故を受け、ロシア政府が対日ガス輸出の拡大を計画している。プーチン首相は20日、エネルギー不足に陥っている日本への液化天然ガス(LNG)輸出の緊急拡大について、ロシアが欧州連合(EU)向けにパイプライン経 […]

日本の震災と原発事故を受け、ロシア政府が対日ガス輸出の拡大を計画している。プーチン首相は20日、エネルギー不足に陥っている日本への液化天然ガス(LNG)輸出の緊急拡大について、ロシアが欧州連合(EU)向けにパイプライン経由のガス供給を増やす代わりに、EUがカタールなどから輸入するLNGを日本への供給に回すことを提案。日欧の政府とただちに協議に入るとした。国営ガス会社ガスプロムがEU向け供給量を毎日6,000万立方メートル増やせば、日本に同4万トンのLNGを追加供給できるとしている。

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■極東の資源プロジェクトもスピードアップ

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ロシア政府は、日本からの今後の需要拡大を見込み、極東の資源プロジェクトをスピードアップさせる動きもみせている。プーチン首相は19日、サハリン州の州都ユジノサハリンスクで極東のエネルギー開発に関する政府会議を開催。同国エネルギー省は同会議で、アジア太平洋地域に原油を輸出するための東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)の全線開通の時期が当初予定より早い2012年末になる可能性を示唆した。

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また、プーチン首相は、日本政府・企業も参加しているサハリン沖の石油・ガス開発事業「サハリン1」について、国営ガスプロムの関与強化を要請した。サハリン1で生産する天然ガスの取扱いをめぐっては、全量をガスプロムに卸すよう求める政府とパイプライン敷設による中国向け輸出を計画している米エクソンが対立し、開発が滞っている。同首相はさらに、ガスプロムが権益を握る東シベリア(イルクーツク州)のコビクタ・ガス田とESPOが通過するサハ共和国のチャヤンダ・ガス田に日本企業が参加できる可能性も示唆。コビクタ・ガス田の埋蔵量は2兆立方メートル以上、チャヤンダ・ガス田は約1.2兆立方メートルで、合計埋蔵量は世界の年間消費量を上回っている。

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