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2011/3/30

ロシア

英BPとロスネフチの提携、差し止め仮処分が延長

この記事の要約

英石油大手BPがロシア国営ロスネフチとの包括提携計画をめぐって、さらなる窮地に立たされている。ストックホルム商工会議所の仲裁機関は24日、判決日の来月7日まで計画を差し止める仮処分を延長する判断を下した。訴えているのはB […]

英石油大手BPがロシア国営ロスネフチとの包括提携計画をめぐって、さらなる窮地に立たされている。ストックホルム商工会議所の仲裁機関は24日、判決日の来月7日まで計画を差し止める仮処分を延長する判断を下した。訴えているのはBPのロシア合弁会社TNK-BPの半数株を持つロシアの投資家グループAARで、計画がTNK-BPの合弁契約に違反していると主張している。BPは提携計画の柱の一つである株式交換を期限の4月14日までに行えるよう仲裁機関に許可を申請する方針だ。

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BPは今年1月、北極圏における石油・ガスの共同探査・採掘および株式交換でロスネフチと合意した。メキシコ湾での原油流出事故を受けて、米国と並ぶ燃料産出国であるロシアでの事業拡大を目指したものだ。

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しかし、差し止め処分の延長でBPの立場はさらに悪化した。重要市場の一つである米国では原油流出事故による賠償問題で膨大な損失が見込まれ、ロスネフチとの提携が成立するかしないかで、将来の展望が大きく異なってくるからだ。一方、ロスネフチがTNK-BPのAAR保有株をすべて買収するといった救援策も期待できない。北極圏探索でロスネフチと提携を望む企業はほかにもあるためだ。

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今後の見通しとしてルネサンス・キャピタルのアナリストは、AARがTNK-BP株を何らかの形で売却する可能性を指摘する。取引金額については、AARが300億米ドルで売却する意向との未確認情報もあるが、同アナリストは「270億ドルが妥当な線」としている。

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BPはTNK-BPにおける経営権争いで2008年にAARに敗北した経緯がある。当時、TNK-BPの社長をBPのダドリー現社長が務めていただけに、業界専門家は「なぜAARとの関係悪化を見通せなかったか」と首をかしげる。オックスフォードエネルギー研究所では「国営企業であるロスネフチとの提携であるため、政府の支持を確信していた」とみている。

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ロスネフチは提携計画の遅れを理由に損害賠償の請求を検討中だ。ロスネフチ監査役代表を務めるセチン副首相は、「遅延の責任が(BPとAARのうち)誰にあるのかを見極めて」行動に移すとしている。

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