米格付け会社のムーディーズは5日、ハンガリー7銀行の格付けを引き下げた。個人向け担保ローンと商業不動産金融で外貨建ての割合が高いうえ、純利益も減少傾向にあるため、資産の持続的劣化につながると判断した。
\7行のうち財務格付け(BFSR)が格下げされたのは、K&Hバンク、ブダペストバンク、FHBモーゲージバンク、エルステバンク・ハンガリー、MKBバンクの5行。残り2行のOTPバンクとOTPモーゲージバンクは、自国通貨建て預金格付けが格下げされた。OTPバンクは外貨建て債務格付けも格下げとなった。
\ハンガリーではスイスフランを中心とする外貨建てローンが銀行貸付全体の7割を占める。債務者、特に個人顧客は為替リスクに対応できないため、結果的にフォリントの下落や金利上昇を招くぜい弱性を抱えている。政府は昨年、抵当権付住宅ローン(モーゲージ)での外貨建て融資を禁止したが、これまでの貸し付けの償却期限が過ぎるまでこのリスクは続く。さらに、政府が昨年8月に、住宅ローンの未払いによる強制立ち退きを猶予する措置を導入したことも、支払状況の悪化につながっている。
\ハンガリーの銀行の2010年の収益率は前年を大幅に下回り、いくつかの銀行は赤字に転落した。貸倒引当金の急増や事業規模の減少、効率化の遅れ、銀行税が純利益を圧迫した。特に、政府が財政再建策の一環で昨年導入した銀行税は銀行の資産総額の0.15~0.5%を徴収するもので、手数料収入前の収益の約25%に相当する。銀行税は少なくとも2012年まで続けられるため、ムーディーズはハンガリーの金融機関が収益を維持し、同国の経済成長を後押しするのはますます難しくなると予想している。
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