三井物産がボスニア・ヘルツェゴビナ(以下ボスニア)の水力発電事業への投資を検討している。ロイター通信がこのほど、同社のシンクタンクである三井物産戦略研究所・ロシア・CIS・東欧ビジネス推進センターの中川原俊輔センター長の話として報じた。
\ボスニアは国内発電の40%を水力、残り60%を石炭火力発電に依存している。中川原センター長によると、水力発電の潜在能力は高く、発電所増設によって電力輸出国になるチャンスもある。三井物産は水力発電所の新設に最大2億ユーロを投資することを検討しており、近くボスニア側と交渉を開始するという。
\ボスニア政府は電力需要の増加に対応し発電量を拡大するため、国内のエネルギープロジェクトに今後10年で計117億ドル規模を呼び込みたい考え。共産主義時代に建てられた老朽化した火力発電所の近代化や環境負荷が低い高効率の発電所の新設、水力発電所や風力発電所の建設を計画している。
\ \■ 三井物産、ボスニアの製薬・アルミ企業にも関心
\ \三井物産は、ボスニアの大手製薬メーカーBosnalijekとの提携も模索している。中川原センター長は、グループ企業の三井化学が新市場の開拓を計画していると指摘。三井物産が、ロシアやCIS諸国、東欧地域だけでなく、アフリカや中東地域にも販売網を展開しているBosnalijekと提携することで、三井化学にも中東や南アフリカに進出するチャンスが広がると期待を示した。
\また、三井物産ブダペスト支店の陸川支店長は、ボスニア唯一のアルミニウム精錬会社Aluminij Mostarとの取引に関心があることを明らかにした。Aluminij Mostarは欧州連合(EU)域内の建設、自動車業界に製品を輸出しており、今年は12万8,500トンの一次アルミニウムの生産を見込んでいる。
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