ロシア国営銀行ズベルバンク(ロシア貯蓄銀行)がオーストリアの信用協同組合、フォルクスバンクの東欧事業(フォルクスバンク・インターナショナル/VBI)の買収を検討している。VBIの51%を取得し、最終的に完全買収する方向ですでにフォルクスバンクと交渉を進めているという。露日刊紙『ベドモスチ』がこのほど報じた。
\ズベルバンクは西欧・東欧市場に進出する機会を狙っており、VBI買収で、まず東欧市場に足場を築きたい考え。VBIはチェコ、スロバキア、スロベニア、ルーマニア、クロアチア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ウクライナに約550の支店を持ち、簿価は約125億ユーロに上る。2010年はルーマニアやウクライナの事業が振るわず、2,180万ユーロの赤字を計上した。
\ただ、『ベドモスチ』によると、買収交渉ではVBIのルーマニア子会社の扱いが争点になっている。ルーマニア中央銀行は同子会社の国営ズベルバンクによる買収に「歴史的な理由から」反対を表明。これを受け、ズベルバンクは同子会社を買収対象から外すことにしたが、フォルクスバンク側がこれに難色を示している。ルーマニア子会社は資産総額48億ユーロ、市場シェア6.6%とVBIの中核事業であり、同子会社を除いたVBI売却は意味を失う。また、昨年は3,600万ユーロの赤字を出しており、貸倒引当金と不良債権を減らして自己資本を増強したいフォルクスバンクとしてはどうしてもルーマニア事業を売却したい意向だ。
\フォルクスバンクは6月末までにVBIの売却先を決め、年内に取引を終了する方針。フォルクスバンクの少数株主である仏バンク・ポピュレールもイースター休暇後に買収を提案する予定という。
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