中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2012/1/11

総合・マクロ

中東欧経済、12年は大きく減速

この記事の要約

ギリシャの財政問題に端を発したユーロ圏の債務危機は、欧州で比較的安定した成長を見せていた中東欧諸国にも影響を与えている。ウィーン経済研究所(WIIW)によると、2012年の中東欧経済は、債務危機の影響により大きく減速する […]

ギリシャの財政問題に端を発したユーロ圏の債務危機は、欧州で比較的安定した成長を見せていた中東欧諸国にも影響を与えている。ウィーン経済研究所(WIIW)によると、2012年の中東欧経済は、債務危機の影響により大きく減速する見通しだ。ただ、景気後退(リセッション)は回避できるとしている。

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WIIWが最も先行きを懸念するのはハンガリーだ。同国は1年前に国際通貨基金(IMF)からの融資を返済し、経済再建を目指してきたが、目立った成果は挙がっていない。むしろ、スイスフラン相場の上昇がフラン建ての住宅ローンを抱える多くのハンガリー国民にとって大きな負担となっているほか、輸出も減速しており、WIIWではマイナス成長に陥る可能性もあると指摘する。ルーマニアは、金融市場を支配する西欧の銀行からの信用の流入がユーロ危機の影響で縮小している。ただ、危機が一段落する下期以降には再び西欧からの資金流入が活発化に向かい、景気も徐々に上向くと見られている。

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一方、ポーランドの見通しは明るい。ウクライナと共同開催する欧州サッカー選手権(ユーロ2012)で景気浮揚効果が期待できるほか、ズロチ安による輸出拡大も成長に貢献すると見られる。トルコも堅調な推移が見込まれる。同国では経常赤字の拡大が続き、格下げ圧力が高まっているが、政府は問題解決に取り組む姿勢を見せている。ベレンレルク銀行の投資ストラテジスト、ライヘル氏は、「経常赤字の削減に成功すれば格下げ圧力も緩和し、同国への投資が活発になる」と指摘する。

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